JSRは4月25日、2012年3月期連結決算を発表した。説明会には小柴満信社長、平野勇人執行役員財務部長が出席し概況を説明したほか、11年度からスタートした中期経営計画「JSR20i3」の進捗状況も明らかにした。同社の3月期連結業績は、売上高が3499億4600万円、前期比2・7%増の増収となったが、収益面は営業利益359億6400万円、同8・0%減、経常利益415億7300万円、同2・4%減の減益となった。当期純利益は264億700万円、同4・2%減。
決算説明を行った平野執行役員は「エラストマー事業は期を通じて堅調に推移したが、ファイン系事業が需要低迷から減収減益となり、足を引っ張った形。震災の影響から第1四半期は出荷が大きく落ち込み、円高による輸出採算の悪化も影響した」と業績内容を総括した。
合成ゴム販売は、震災の影響で鹿島工場が5月後半まで生産停止となり、国内自動車生産の大幅な減産の影響を受け、前半の販売数量は前期を下回った。一方で、自動車タイヤ生産は世界的な需要拡大により堅調に推移、主要原材料価格の変動に対応した合成ゴムの価格改定も加わり、通期では販売数量、売上高ともに前期を上回った。
世界規模で拡大する低燃費タイヤの需要増に対応するため、四日市工場のS-SBRの2万5000㌧/年の能力増強工事が11月に完了。さらなる需要拡大への対応として、タイで合弁会社を設立し、5万㌧/年のS-SBR製造プラントの新設を決め、13年の稼動を目指し建設に着手した。また、ブチルゴムの需要増大に対応、日本ブチルでハロゲン化ブチルの生産能力を1万㌧増強し、年産8万㌧体制を確立する。
セグメント別の売上高は、エラストマー事業が1808億3400万円、同12・4%増、合成樹脂事業は512億3600万円、同2・0%減、多角化事業は1178億7500万円、同7・6%減。