〈原油、ナフサの動向〉
WTI、ドバイ原油並びにシンガポールナフサ価格の2010年1月以降2012年4月の月間平均値の推移を示した。
月間平均値で見ると、原油価格は3月まではイランの核開発に関する情勢緊迫化を背景に上昇したが、4月以降は米国の景気減速懸念、中国の経済成長鈍化の影響などから、ドバイで119㌦、WTIで103㌦と、昨年の年間平均は上回っており、依然高止まりにある。
一方、ナフサ価格であるが、原油価格が下落したこともあり、4月のシンガポール、東京のスポット価格(東京オープンスペック)は下落しているが、東京スポット価格は円換算で6万円と高値水準にあり、国産ナフサ価格は第1四半期が3期ぶりに上昇して5万4000円前後、第2四半期は6万3000円前後まで上昇の予想となっており、これをベースに石化製品の値上げが相次ぎ実施されている。
アジア地域のブタジエン市況の推移を見ると、アジア地域のブタジエン価格が高騰していることを背景に、石化メーカーでは国産ブタジエン価格を海外価格に連動させる動きが出ており、合成ゴムメーカーはこれを受けてブタジエンを原料としている合成ゴムについて、ナフサフォーミュラーからブタジエン価格を含めたフォーミュラーへの変更を計画している。ブタジエンのアジア価格が再び高騰していることから、SBR、BR、NBR、CRについて、今回の価格改定でも改定幅が大きくなっている。
なお、東京相場・天然ゴム価格の動向については、天然ゴムの東京相場の月間平均値の推移を見ると、2011年11月~2012年1月にかけて300円を切る水準となったが、2012年1月以降は再び300円を超え、高止まりとなっている。
〈日銀企業物価指数の動向〉
引き続き、全品目の指数が100を上回っている。指数が高い順に、天然ゴム(188・6)、A重油(168・8)、C重油(165・8)、フタル酸系可塑剤(147・1)、合成ゴム(142・9)、酸化チタン(140・4)、カーボンブラック(137・0)、塩ビ樹脂(134・8)、トルエン(119・9)、有機ゴム薬品(113・8)、熱延薄板(109・8)、冷延薄板(108・8)となった。
前月比で上昇したのは、A重油(9・1%)、天然ゴム(5・9%)、トルエン(1・2%)の3品目。下落は、熱延薄板(マイナス0・8%)、冷延薄板(マイナス0・3%)、塩ビ樹脂(マイナス0・1%)の3品目で、残り6品目は横ばいとなった。前年同月比では、天然ゴム(マイナス26・7%)、フタル酸系可塑剤を除く、酸化チタン(18・7%)、C重油(13・2%)、有機ゴム薬(9・3%)、A重油(8・4%)、カーボンブラック(7・8%)、合成ゴム(3・6%)、塩ビ樹脂(3・1%)、トルエン(1・4%)、熱延薄板(1・4%)、冷延薄板(0・6%)の10品目が上昇した。
〈合成ゴムなどの主要原材料の出荷動向について〉
合成ゴム、天然ゴムは回復傾向が見える。塩ビ、カーボンブラックは依然低水準で推移しているが、カーボンブラックについては一部工場の被災もあり、国産の出荷は減少しているが、下落幅が縮小を示している。