〈春季労使交渉の妥結状況について(中間報告)〉
平成24年の春季労使交渉は、ナショナルセンターである連合(日本労働組合総連合会)が全ての組合が取り組む課題(ミニマム運動課題)として「賃金制度の確立・整備と賃金カーブ維持分の明示・確保」などを設定した。 今年も統一的なベースアップ要求は見送ったものの、全ての労働者の処遇改善に向けて、昨年同様「マクロ的観点から、全ての労働組合が1%を目安に賃金を含め適正な配分を求めていく」との方針を掲げたのに対して、経団連(日本経済団体連合会)は「労働側が昨年に引き続き1%を目安に賃金を含め、適正な配分を要求しているのは企業の危機的な経営環境に対する認識が甘いといわざるを得ない。厳しい経営環境や収益の状況を踏まえれば、恒常的な総額人件費の増大を招くベースアップの実施は論外であり、雇用を優先した真撃な交渉・協議の結果、賃金改善を実施するには至らない企業が大多数を占めると見込まれる。
さらに、定期昇給の延期・凍結も含め、厳しい交渉を行わざるを得ない可能性もある」などの見解を示す中で展開されたが、民間大手については例年同様、金属労協(全日本金属産業労働組合協議会)が集中回答日に設定していた3月14日以降、多くの企業で回答が示され解決に至っている。
ゴム関係では、ゴム連合(日本ゴム産業労働組合連合)が「全単組のミニマム設定として、賃金カーブ維持分の確保を行う」などの方針を掲げ、2月末までに要求書を提出し、前段交渉期間を経て、3月15~16日を集中解決ゾーンとして全単組が3月末までに解決を図るという日程を組んでいたが、日本ゴム工業会の情報交換参加会員(56社)における交渉状況は、3月中旬から下旬にかけて多くの企業で収束し、4月18日現在で約7割の企業が解決に至っている。
これら解決済み企業のうち、集計可能な38社の妥結額(一部回答額を含む)の総平均は加重平均で5024円、改訂前の賃金ベース28万3137円に対するアップ率は1・77%で、同一企業における昨年の妥結実績(5091円、1・80%)と比べると金額で67円の減、アップ率で0・03ポイントの減と3年振りに前年実績を下回る内容となっている。
業種別にみると「自動車タイヤ(4社)」が5366円、1・87%(同一企業における昨年の実績に比べ金額で163円、アップ率で0・07ポイントの減)、「工業用品(21社)」が4799円、1・70%(同57円、0・01ポイントの増)、「はきもの(5社)」が3376円、1・41%(同123円、0・04ポイントの増)、「その他(8社)」が4038円、1・44%(同57円、0・03ポイントの増)といった状況。
なお、本年も春季賃金交渉と併せて夏季、または年間賞与・一時金についての交渉が行われたところが大半で、現時点で8割近くの企業が賞与・一時金交渉についても同時妥結に至っている。
経団連が4月6日に発表した主要業種・大手企業の回答状況をみると、調査対象(主要21業種・大手245社)の約37%に当たる91社に回答が出ているが、このうち平均金額不明分など54社を除いた37社の回答額(了承・妥結を含む)の総平均は加重平均で6240円、アップ率は1・94%で、昨年の同時期における第1回集計分(35社の平均で6346円、1・97%)に比べ、金額で106円の減、アップ率で0・03ポイントの減といった状況である。
ちなみに「ゴム」は集計対象2社(調査対象のうち平均金額不明分などを除く)の平均で回答(妥結)額が5063円、アップ率が1・71%(昨年実績比で278円の増、0・11ポイントの増)となっている。
なお、経団連では例年6月中旬に大手企業の最終集計(集計対象は110社前後)を発表しており、今後は「化学」「鉄鋼」「自動車」「造船」など数10社が集計に加わる予定。