日本ゼオン㈱の子会社であるゼオン化成㈱は、中国江蘇省常熟市に塩化ビニル樹脂(PVC)を原料とするパウダースラッシュ材料(PSC)の新工場の建設を進めていたが、このほど竣工し4月から生産を開始した。
ゼオン化成では拡大する中国自動車市場に対応して、安全、安価な自動車内装用材料を現地で供給するために2011年4月に江蘇省常熟市「東南経済開発区」に瑞翁化成塑料(常熟)有限公司を設立し、パウダースラッシュ材料の工場建設を進めていたもの。
新工場では第1期として1千~2千トンの規模で低温特性を改良したPVCパウダースラッシュ材料(PVC/PSC)を生産する。市場の拡大に伴い、第2期に3千~4千トンの生産規模に拡大していく計画。
PVC/PSCは低温特性の改良によりインビジブル・エアバッグ・システム用表皮材への適応が可能となったことで需要が拡大。また、現行材料である熱可塑性ポリウレタンに比べて意匠性・成型加工性に優れ、安価な樹脂であることから大幅なコストダウンが見込まれ、マツダ車における採用を始め、国内外の自動車メーカーで開発採用検討が進んでいる。 ゼオン化成では現在、国内の茨城工場(年産2000~3000トン)でPVC/PSC材料を生産しており、インビジブル・エアバッグ・システム用表皮材の採用車種の拡大により、本年は前年比1・5倍の販売を見込んでいる。
同社ではPSC事業のグローバル化の第一歩として、今後拡大する中国市場に生産販売拠点を構築したもので、日系、中国ローカルメーカーへの拡販により2015年には50億円の販売を見込んでいる。