SIS「クインタック」が堅調推移 エラスティックフィルム向けに注力
日本ゼオン
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日本ゼオンの化成品事業部は同社独自の技術GPI法によってC5留分から得られる各種成分を原料として、スチレン系熱可塑性エラストマー「クインタック」(スチレンイソプレンブロックポリマー SIS)を事業展開している。
同社のスチレン系熱可塑性エラストマー「クインタック」はポリスチレンーポリイソプレンのブロック構造を有する熱可塑性エラストマーで優れた粘・接着性能、優れた熱安定性を示す。スチレン含有量別にホットメルト型粘着剤に好適な標準タイプ、ホットメルト型粘着剤に好適で粘着力、段ボールシール性に優れた低モジュラスタイプ、ホットメルト型粘着剤に好適な低粘度、高保持力タイプの3タイプ、8グレードを展開。
なかでも近年、注力しているのがエラスティックフィルム向け新規SIS「クインタック SLー159」(非対称SIS)。紙オムツのフィルム部分でのウレタン、SEBSフィルムの置換材料として需要が拡大している。新規設計因子の導入でスチレン含有量48%、球晶に近いモルフォロジーで高応力、高復元性を実現している。
需要分野は、粘着テープ類が85%、接着剤用途が15%という需要構成比。アジア地区を中心に輸出が拡大しており、輸出比率は8割を占める。
需要面では昨年の震災直後は同業他社の生産停止から同社への引き合いが活発化、海外輸出への出荷制限により、国内既存顧客への出荷を優先し安定供給を果たした。世界のSIS需要が15~16万トンといわれる中、その半分以上が粘着テープ需要であり、同社では北米の粘着テープメーカー向けに需要を拡大しており、中国、アジア地区へ生産拠点が移行したのに伴い、アジア向け輸出に積極展開している。
現在、同社水島工場で年産4万トンの生産能力を有するが、世界の粘着テープ需要が年率4~5%の成長を見せており、足元、フル生産、フル販売が続いており、デボトルネックによる生産性向上で需要の伸びに対応、長期的には海外での新プラント建設も視野に入れている。
同社ではモノマーの抽出から自社技術で行う世界でも類をみないC5留分総合利用企業として、C5留分ビジネスをコア事業と位置付けており、化成品事業部ではこのほかC5留分から抽出された高純度の1・3―ペンタジエンを主原料に製造される石油樹脂「クイントン100シリーズ(脂肪族系炭化水素樹脂)」、C5留分から抽出された高純度のシクロペンタジエンを主原料に製造された石油樹脂「クイントン1000シリーズ(脂環族系炭化水素樹脂)」を製造販売している。
(2012年4月30日紙面掲載)