千葉工場の能増が完了 中国・アジア地区で販売拡大へ
住友化学
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住友化学の合成ゴム・エラストマー部ではオレフィン系熱可塑性エラストマー「エスポレックスTPEシリーズ」の需要増大に対応、同社千葉工場での生産能力増強を進めていたが、本年4月に工事が完了、5月に試運転を実施し、6月から本格稼働を開始する。現行生産能力、年産1万トンから5000トンアップされ、国内千葉工場の年産能力は1万5000トン体制となった。
需要の約7割を占める自動車用用途ではエアバッグ収納ケース、内装シート、塩ビ代替から加硫ゴム製品代替に需要が拡大、年率二ケタの成長を堅持しており、合成ゴム代替ではTPOのトータルコストダウンが評価され、ウェザーストリップ、トリム、ボディシール、グラスランにと拡大している。
主力のエアバッグ収納ケースではポリエステル系、SEBSからの素材展開に加え、助手席からサイド、後部座席、足元への拡大と採用部位が増えており、引き続き大きな成長が見込まれている。
また、同社ではオレフィン系熱可塑性エラストマー「エスポレックスTPEシリーズ」の新グレードとして高架橋タイプ(6000番シリーズ)を開発、サンプル出荷を経て、近く本格販売を開始する予定。
この新グレードはショア硬度75~95、圧縮永久歪み30~45までの3種をラインアップ。①押出成形、射出成形に適している②優れた耐油性と圧縮永久歪み特性を有する③加硫ゴムに近い、ゴム弾性を有する④低比重なので、軽量化が可能ーなどの特長を備えており、雑貨・日用品、工業部品、自動車部品などの用途に最適としている。同社では2013年に年間500トンの販売を目指している。
また、近年、中国、アジア地区での需要が拡大、輸出比率は4割弱に達しているが、中国での販売拠点設置により、積極的な営業展開を図る方針で、今回の増強分はアジア地区での拡販、新グレード生産に充当し、新規顧客の獲得を図る。
一方、アメリカ市場では同社子会社の住友化学アメリカ(年産5000㌧能力)が製品を供給、自動車用途分野で着実な成長をみせており、足元、米国での自動車生産の拡大でフル生産が続いており、今後はさらなる能力増強が必要としている。
同社では自動車の軽量化、リサイクル要求からEPDMからTPEへのシフトはさらに進むとし、「ポリプロ、EPDMの原料からの機能性向上、新グレード開発が可能である強みを活かし、能増を図ったマルチプラントでよりゴムライクで耐熱性、耐寒性にすぐれるTPE製品の開発、生産に注力する」としている。
本年の需要見通しについては、震災以後、サプライチェーンの寸断からカーメーカーの複数購買が顕著となり、部品メーカーへのコストダウン要求の揺さぶりなども見られるが、自動車生産の回復もあり需要の伸び以上の前年比1割強の販売を計画している。
また、日本市場以上に堅調な伸びが期待されるのがアメリカ市場で、前年の震災影響で落ち込んだ分を大きくカバーする前年比3割アップの販売を見込んでいる。(2012年5月14日紙面掲載)