東洋ゴム 12年3月期連結決算 タイヤ事業2ケタの増収増益

2012年05月14日

ゴムタイムス社

 ビジネスユニット制導入へ

 東洋ゴム工業は9日、都内の鉄鋼会館で12年3月期連結決算を発表した。 売上高は3205億6900万円、前期比9・0%増、営業利益128億9300万円、同5・8%増、経常利益107億5400万円、同17・0%増の増収増益となった。中倉社長は「5ヵ年の中計初年度が終わり、震災の影響も最小限に留めることができた。新年度はビジネスユニット制を導入し、意思決定の迅速化を図り、業績拡大を目指す」などと語った。なお、同社は決算期を12月期に変更、12年度は9ヵ月間の変則決算となる。

 決算説明会には中倉健二社長らが出席して概況を説明した。中倉社長は11年度業績について「被災3工場の早期全面復旧に努め、北米タイヤ工場第3期能力増強が完了、中国タイヤ工場の竣工をはじめ鉄道車両用防振ゴムの中国展開などグローバル拡大戦略を着実に実行した」などと総括。
 経常利益段階における収益増減要因は、増益として販売要因で210億円、工場操業度向上で16億円、コスト合理化9億円、金融収支改善など4億円の合計239億円となり、材料価格仕入れコスト増(186億円)、為替差損(22億円)、販管費増(15億円)など合計223億円の減益要因をカバーして差引15億6000万円の増額となった。
 国内タイヤ市場は、新車用が高付加価値商品の拡販で巻き返したほか、市販用は値価格改定と冬用タイヤの販売が好調に推移、海外市場は北米、アジアが順調に推移、欧州は低迷した。以上の結果、タイヤ事業の売上高は2417億800万円、同11・6%増、営業利益103億2500万円、同16・5%増となった。
 ダイバーテック事業は輸送機器が需要回復基調に転じ、断熱資材は復興需要として硬質ウレタン原液の販売が増加、防水資材は上期の落ち込みが影響して減収となった。以上の結果、同事業の売上高は788億1400万円、同1・7%増、営業利益20億7300万円、同35・2%減となった。
 新年度の事業戦略について、中倉社長は次の通り方針を説明した。
 「タイヤ事業は、中国新工場の立ち上げに伴い、販売量の拡大を目指すとともに、成長著しいアジア地域での販売強化を図ることで、北米・欧州に並ぶ重点市場としての地位を確立する。また、国内工場と米国・中国・マレーシアにある海外工場の生産品目を見直し、販売に合致した供給体制の確立を目指す。
 ダイバーテック事業は、中期経営計画11で掲げた更なるコア事業への集中を行うため、自動車部品事業、ウレタン事業、鉄道車両部品事業の3分野に経営資源を集中し、積極的なグローバル展開と独自技術を生かした高付加価値・環境配慮商品の開発に取り組んでいく」。同社は決算期を12年度より12月に変更、このため12年度は4月から12月までの9ヵ月間の変則決算となり、連結業績は、売上高3040億円、営業利益152億円、経常利益125億円、当期純利益79億円を計画している。設備投資はタイヤ事業に214億円、ダイバーテック事業に68億円の計282億円を計画している。また、組織面では7つのビジネスユニット制を導入し、各事業分野において生産と販売が一体となった展開を加速、迅速な意思決定を図る。

決算説明する中倉社長

決算説明する中倉社長

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