企業特集 市丸技研 ガスサーキュレーション装置を拡販

2012年05月15日

ゴムタイムス社

 代表取締役社長 松浦賢治氏に聞く

 加硫時間短縮で省エネを実現 生産性向上でコストダウンに寄与

 タイヤ加硫機用バルブ・周辺装置の国内最大手、市丸技研(福岡県筑後市、松浦賢治社長)はこのほど、タイヤ加硫工程に使用する新型装置「ガスサーキュレーションユニット(GCU)」を開発、ユーザーでの実証実験等で個別のニーズに対応しながら製品化へ向けて、サンプル出荷を展開している。
 GCUは加硫機用バルブや周辺機器を30年にわたり製造してきた同社が10年以上の歳月をかけて開発した装置であり、高温高圧の気体に対応した特殊誘導モータを用いたターボ形ポンプ(GPX)と専用コントローラ(GPX―Dr ive )で構成されている。
 また主にタイヤ加硫機に取り付けることにより、加硫力を安定させつつ強化。その結果タイヤ品質の向上と同時に、加硫時間の短縮を一度に実現することが期待できる。
 「GCUはタイヤ加硫機内の流体回路間に設置し、ブラダ内部の流体を連続的に循環させることにより、タイヤ品質の向上と加硫時間の短縮を同時にもたらすのが最大の特長」(松浦社長)。
 最近では低燃費タイヤやランフラットタイヤのような高機能タイヤの高機能化に対応するため、ゴム材料における特殊配合剤の均一分散のための混合技術の進化に伴い、加硫工程においてこれまで以上に上下温度差を改善し、均一に加硫する技術が求められているのでGCUの認知度が高まってきているという。
 「ランフラットや低燃費タイヤをターゲットにしていきたい。また温度に敏感なゴム材料に対してもGCUは有効だと言える」(松浦社長)。
 またGCUの最大の特徴である加硫時間が縮まることで、高品質は維持しつつ、省エネやコストダウンにも寄与する。さらにCO2 の排出抑制をするため、環境にも配慮した装置でもある。
 「最近では品質が良く、その上で省エネが求められている。その点でもGCUは省エネが可能であり、しかも生産性が高く、コストダウンに貢献できる」(松浦社長)。
 同社は今年の2月14日~16日にドイツのケルンで開催されたタイヤ産業における世界有数の技術展示会「タイヤ・テクノロジー・エキスポ2012」にガスサーキュレーションポンプ(GPX―1A)の欧州規格対応、欧州規格対応(CE対応)を考慮した新型コントローラ 、GPX―1Aの大型ポンプなどを出展。同製品は主催者が行う5つのカテゴリーのうち、「Tire Manufacturing Innovation of the Year」というカテゴリーの年間最優秀賞の最終選考までノミネートされた。
 「世界のタイヤメーカー、専門家などの関係者の展示会で最終選考までノミネートされ、そのなかで評価されたことが今回の最大メリットであり、認知の向上につながった」(松浦社長)。
 同展示会では、「Tire Manufacturing Innovation of the Year」の最終選考まで残ったのは日本のメーカーでは一社であり、今回のノミネートされることで各雑誌でもGCUが紹介された。その結果、欧州や欧米でも引き合いが増加した。
 「GCUはタイヤの生産ラインの現場での評価に時間がかかるため、今年は認知していただく年として、世界中で試用していただきたい」(松浦社長)。
 同社の今後の展開として、今年中に国内外タイヤ関連会社に向け、GCUの試用、サンプル出荷販売を展開していき、タイヤメーカー関連会社の設備投資が始まる前に積極的に拡販していく。