企業特集 日興エボナイト製造所  BtoBからBtoCに展開

2012年05月15日

ゴムタイムス社

 素材メーカーから脱却

 ㈱日興エボナイト製造所(東京荒川区・遠藤智久社長)は昭和27年創業の国内で唯一のエボナイト素材メーカー。
 エボナイトとは天然ゴムと硫黄を混合して加熱することにより作る弾性の少ない硬質ゴム素材。
 同社のエボナイト素材はゴムの木から採れる天然ゴムの最高級のグレードだけをゴム中100%使用している。エボナイトの特性を活かし、自動車燃料計や液面センサー用の「NBRフロート」や「重量用キャスターゴム車輪」、管楽器のマウスピース等の製造・販売を展開している。
 エボナイト製造販売を約60年を行ってきたが、「エボナイトの需要自体が少なくなってきており、これからはお客様に直接、価値を提供していくことが重要になってくる」(遠藤社長)。
 そこで同社は平成20年3月に「B to B からB to C へ」をテーマとした「経営革新計画」の承認を東京都から取得し、素材メーカーからの脱却を試みている。
 同社の取り組みの一つに、3年前からエボナイト素材製造のノウハウを集大成として、高級万年筆の製造販売を行ってきた。この万年筆はWEBショップ「下町のエボ屋さん=笑暮屋(エボヤ)」で展開し、エボナイト製ギターピックとともに販売している。「笑暮屋(エボヤ)」の由来はエボナイトで笑顔のある暮らしという想いが込められているという。同社の万年筆は基本的に店頭販売は行なっていなく、インターネットで注文を受けてから製作に入る受注生産。同社が独自に開発した深い味わいのあるカラーマーブルエボナイト材を使用し、職人がろくろで削り出したエボナイト軸万年筆。また形状・色・字幅を組み合わせができるオーダーメイド万年筆でもある。
 さらに百貨店の販売イベントにも積極的に出展するなどエボナイト素材の認知度をさらに向上する取り組みを行っている。
 今後の計画は「B to B からB to C を展開していく中で、最終的にB to Bに戻ってくるサイクルにしていきたい」(遠藤社長)。最近では、エボナイト素材としてはB to B のマッチングサイト「アリババ」を使用して海外からの受注も増えてきているという。また同社はユーザーが喜んでもらえるエボナイトの用途を検討し、新製品開発も強化していく。