宇部興産 BR、カプロラクタムの投資拡大に弾み

2012年05月24日

ゴムタイムス社

 宇部興産は23日、タイ子会社ウベ・ケミカル(アジア)(UCHA)がタイ国営石油PTT傘下の石化メーカー、IRPCと資本提携すると発表した。

  豊富な化学原料を持つPTTは川下製品への進出によりチェーンの強化を図っており、原料確保とタイでの事業拡大を目指す宇部興産と思惑が一致した。
 IRPCは7月をめどに、宇部興産が所有するUCHA株の一部とUCHAの第3者割当増資株を約53億バーツで取得する。増資後のUCHAへの出資比率は宇部興産68・99%、IRPC25%、丸紅4・78%となる。
 宇部興産はタイでカプロラクタム、硫安、ナイロンコンパウンドを生産するUCHAに加え、合成ゴムBR(ブタジエンラバー)の生産拠点(年産7万2000トン)「タイ・シンセテック・ラバー」(TSL)、1・6ヘキサンシオールの生産拠点(年産6000トン)「ウベ・ファインケミカルズ」(UFA)を有し、事業展開を行っている。一方、IRPCはPTTグループのエチレン、プロピレン、ブタジエン、ベンセンなどを生産する石油化学関連中核会社。
 同社竹下道夫社長は今回の資本提携により、「タイでの原料・土地・ユーティリティの確保、PTTグループの既存設備の有効活用が期待できる。PTTではブタジエンの能力アップの計画を持っており、今後タイで新たに展開するカプロラクタム、合成ゴムBRの拡大投資がスピードアップして取り組める」と話した。 また、タイのBRプラントの火災事故の影響で同社の中国工場(南通プラント)への出荷要請が増加していることも明らかにした。

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