東海ゴム工業㈱は床から車椅子への抱き上げ移乗ができる介護用ロボット「RIBA―(リーバ)Ⅱ」の開発に成功し、8月2日、報道関係者に公開した。 同社は理化学研究所と共同で「理研―東海ゴム人間共存ロボット連携センター(RTC)」を設立し、2009年に介護支援ロボット「RIBA」を開発したが、今回はその後継機。新開発の柔軟触覚センサ(SRセンサ)を採用して触覚によるロボット操作、被介護者の体重検知を行い、さらに腰部に2個の前後屈曲関節と補償ばねを導入した新機構を採用した。 これにより「RIBA―Ⅱ」は抱き上げ性能を「RIBA」に比べ約30%向上させ、80kgの人間を安全に移乗させることを確認した。 ロボット連携センターの加藤錬太郎副センター長は「介護ロボットのニーズは一般家庭と病院や介護施設などに大別されるが、主に病院や施設などで看護師のサポートとして導入してもらうことを考えて開発を進めている。来年度にはモニター供与を行い、14年度に限定販売、15年度には量産体制を確立したい。価格は1台600万円程度としたい」と語った。 「RIBA―Ⅱ」は姿勢を低くして床上に寝ている人を抱き上げるため、腰に2個の屈曲関節を採用した。これにより、床からの抱き上げとベッドからの抱き上げの両方ができるようになった。 無負荷前方に屈曲するときは、ばねを引っ張る力を蓄積し、人を抱き上げるときはその復元力を利用することで比較的小出力モータで抱き上げを可能にした。触覚センサとして新開発したゴム製の「SRセンサ」を導入し、柔軟性とセンシング精度の両立を実現した。 「RIBA―Ⅱ」の走行時や抱き上げ時は、人や異物との接触を検知し、危険を判断した場合には高速かつ自動的に停止する必要があり、台車部分やハンド部分に「R型SRセンサ」を埋め込んだ。さらに、操作性、利便性向上ため背中部分にタッチパネル方式のモニターを設置、介護者が被介護者の介護データに基づいて動作指示や作業確認をできるよう改良された。介護者の指示通りに自動移動できるようライントレースによる自律走行機能も導入された。 東海ゴムでは交流を深めてきた介護施設の協力を得ながら、引き続きロボット連携センターでの研究開発を行い、有用性の実証と課題の抽出を進め、安全性、信頼性、操作性などを検証し、介護施設へのモニター使用を来年度にも開始し、早期の実用化と量産体制の確立を目指す考え。
2011年08月04日