ハバジット日本㈱は、新たに提供するプラスチックベルト専用の洗浄装置「ハイクリーンCIPシステム」がEHEDG(欧州衛生工学・設計グループ)認証を取得したと発表した。
こうしたベルト洗浄ソリューションにおいて、EHEDGから適合証明書が発行されたのは、ベルトメーカーの中でハバジットが初となる。
ハイクリーンCIPシステム(ハイクリーンシリーズのCIP、モジュラーベルトM5060、M5065およびスプロケットの組合せ)は、ドイツ、ミュンヘン工科大学(TUM)ヴァイエンシュテファン醸造・食品品質リサーチセンターで評価が行われ、その結果、EHEDG公認組織である同センターは2011年末にガイドラインに適合していることを認証し、適合証明書を発行した。このことは、同社の画期的なベルト洗浄ソリューションが衛生機器設計の最高水準を満たすという第三者機関による決定的な証明となる。
EHEDGは、機械メーカー、食品製造メーカー、研究機関、公的衛生機関が共同で設立した協会で、食品製造、包装工程において衛生性を確立するために、1989年に発足された。食品が直接接触するベルトなどの機器・部品に対し、材質表面状態など衛生設計上のガイドラインを制定し、対象となる製品の適合に対して証明書を発行している。
最近、日本でもその支部発足やFOOMA2012(国際食品工業展)での基調講演により話題を集め、スイス・ハバジットAGでは同会員として、ベルト製品を介した様々な衛生向上策の提案を積極的に行っており、同システムは同団体の食肉産業チームなどにおいても、新たなベルトソリューションとして注目されている。
食品工場の製造工程において、最適な衛生環境を構築し維持することは、大きな課題の一つであり、衛生基準が厳しい食品加工分野で使用される機器や部品は、洗浄の容易性や衛生設計が極めて重要なポイントになる。
食品ベルトにおける安全衛生管理面で求められるのは、「洗浄のしやすさ」と「異物混入のリスク低減」。欧米ではEHEDG(欧州衛生工学・設計グループ)や3-A Sanitary Standards(3-A 衛生規格)でガイドライン化されており、日本では食品機械向けではあるが JISB 9650-1,-2で安全及び衛生対策に関する通則が出されている。
コンベヤベルトは実際には食品機械に取り付けられることが多く、食品と直接接触するため「衛生」と「安全」の両方の条件を満たす必要がある。プラスチックモジュラーベルトは構造面の制約があり、継ぎ目やヒンジ部に食品残渣が残りやすく洗浄が難しいという課題があった。
ハイクリーンCIPシステムは特許取得済みで、プラスチックモジュラーベルトを使用したコンベヤの効果的な洗浄・殺菌を実現するために、同社が独自開発した画期的な定置洗浄システム。スプレーシャフトやノズルなどの部品は、ベルトの効率的な洗浄を行うために最適化設計されており、コンベヤ一式を分解することなく短時間で信頼性の高い循環洗浄が可能になる。
スプロケットを回転する際にヒンジ部の隙間が最大になるモジュラーベルトの特色を生かし、スプレーノズルはアイドラーシャフトに取り付けられており、射出水圧力および洗い流しによりベルトの裏面、搬送面、エッジ部とベルト全体の汚れを取り除く。また、低水圧でも優れた洗浄性能を発揮するため、食品工場における水や洗剤の消費量を減らすことにもつながり、ユーザーにおける大幅なコスト削減効果が期待できる。
同システムは、同社の『ハイクリーン』製品シリーズと呼ばれる、安全衛生面を最大限に考慮して設計をされた『ハイクリーンM5065フラットトップベルト』と『ハイクリーンスプロケット』および『ハイクリーンCIPキット』での組合せにおいて、最大の洗浄効率を発揮する。ベルトタイプ以外の平滑タイプや開口タイプとの組合せも自由に選択可能。モジュラーベルト以外にも、同社の次世代食品ベルトであるクリーンドライブを装着可。アイドラーシャフトの寸法やスプレーノズルの配置もカスタマイズ可能。
衛生基準が非常に厳しい欧州の食肉加工工場では、製造設備の衛生管理及び洗浄プログラムの改善が求められているが、従来のマニュアルによる繰り返し高圧洗浄では多くの人手と大量の水や洗剤が必要で、洗浄も不均一になりやすいという課題があった。同システム導入後は、アイドルシャフトに組み込まれたスプレーノズルが、ベルト裏面を効率的に洗浄するとともに、個別に配置されたスプレーパイプによりエッジ部と搬送面の徹底洗浄が可能になったため、ベルトの洗浄作業の負担が大幅に削減された。
同システムは2010年に欧米諸国で先行導入し、既に主要な食肉加工工場のみならず、シーフードや製菓製パン、飲料等多くの食品工場において150件以上の実績があり、高い洗浄性が高評価を得ている。
その洗浄性に優れた衛生的な設計に対し、2012年3月にドイツのケルンで開催された世界最大級の国際食品技術専門見本市 「アヌーガ・フードテック」において、銀賞を受賞した。
同社では、今後も食品製造現場の安全衛生管理の考え方や要望を十分に反映し、洗浄作業に配慮したオリジナル製品の開発を進めていくとしている。