帝人 「Endumax」をロープ・ケーブル向けに展開

2012年06月13日

ゴムタイムス社

 帝人グループでアラミド繊維事業を展開するテイジン・アラミドB.V.(本社:オランダ・アーネム市)は6月11日、高機能ポリエチレンテープ「Endumax(エンデュマックス)」に、新たにロープ・ケーブル用途向けに細幅・薄型テープを開発し、今夏より市場展開していくと発表した。

 同製品は、ポリエチレンの中で最も高機能グレードとされる超高分子量ポリエチレンを原料とし、軽量だが世界最高級の強度を誇るもので、炭素繊維と同等の剛性を有している。既存の超高分子量ポリエチレン製品と比べ1.5倍以上の高い弾性率があり、非常に高い耐衝撃性、耐切創性、耐摩耗性、耐薬品性にも優れた超高強度テープ。
 同製品は、防弾プレート、耐衝撃・衝突プレート、高圧ガスパイプなどの配管補強、耐切創手袋、ロープ、ネットなど、幅広い目的で使用することができる。昨年10月より商業生産を開始し、主に防弾用途において採用拡大を図ってきた。同社グループは、優れた耐熱性や耐薬品性などが必要とされる用途に適したパラ系アラミド繊維と、より軽量化や耐摩耗性などが必要とされる用途に適した同製品を併せて持つことで、ロープ・ケーブル市場における幅広い顧客のニーズに応じたソリューションを提供することが可能だとしている。

 現在、重量物のつり上げや牽引に使用されるロープ・ケーブルには、主としてスチールが使われているが、作業の安全性と効率性、さらにロープ・ケーブルの運搬に必要なコストやエネルギー消費量削減の観点から、より軽量で摩耗や疲労に強い代替素材が求められている。この用途におけるスチールの代替としては、パラ系アラミド繊維や超高分子量ポリエチレン繊維などの、軽くて強い素材が使用されてきた。

 同社グループは、以前からパラ系アラミド繊維「トワロン」および「テクノーラ」をロープ・ケーブル市場で展開し、すでにグローバル顧客ネットワークを有している。今回、より幅広い顧客のニーズに対応し、市場シェアを拡大するため、高機能ポリエチレンテープである同品のロープ・ケーブル用途に適した製品を開発した。

 同製品は、幅2mm、薄さ55µm(マイクロメートル)のサイズに加工した細幅・薄型テープでありながら、優れた弾性率、耐切創性、耐摩耗性、寸法安定性などを備えている。軽量で、同重量での比較では、現在世界で使われているテープの中で最高強度。  柔軟で、ロープやスリング(吊り上げ)ベルトの材料として使用することができるほか、ケーブルの保護材として用いることも可能。耐候性や耐切創性に優れ、摩擦係数も低いため、スチールを使用した場合に比べ、劣化、摩耗、切断に強いロープやケーブルを実現できる。
 水に浮き、吸水率も低いため、船舶の係留など、オフショア(海洋)での作業用・牽引用ロープの素材として適している。また、ロープの製造ラインに適したサイズであるため、ロープメーカーは既存の設備を使用して同品製のロープを製造することができる。製造工程において、添加剤やコーティング剤は不要。製造プロセスで溶剤を一切使用しないため、市場に流通しているポリエチレン繊維に比べ、水や大気など地球環境への化学物質排出量やエネルギー消費量を削減することができる。

 同社は、すでに防弾用途において、同テープを一方向に並べて重ね合わせた耐衝撃・耐衝突プレートやパネル、およびコンポジット製品を市場に投入し、採用拡大を図っている。ロープ・ケーブル向けに用途を拡大し、さらに今後も同製品の市場拡大を図ることで、2015年には高機能ポリエチレンのターゲット用途において、15~20%のシェア獲得を目指す考え。

 現在、同社はオランダ・エメン市にある工場内で、同製品を生産しているが、今後、設備を増強していく計画で、2012年末には生産能力が年間1,000トンとなる予定。また、市場の状況に応じて、設備増強や新工場建設を検討していくとしている。

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