アシックス 日本代表選手にシューズ提供

2012年06月14日

ゴムタイムス社

 ㈱アシックスは6月11日、第30回オリンピック競技大会(2012/ロンドン)に向けて、マラソンおよび陸上競技(短距離)の日本代表選手に提供する特製シューズを作製したと発表した。

 同社製シューズに対して高い信頼を得ていることから、各選手やコーチの意向を受けて、マラソンシューズと短距離用スパイクシューズを作製。選手の好みや動作分析によって、アッパー(甲被)やソールなど各パーツの素材や形状を調整し、選手一人あたり数足提供している。

 マラソンシューズは、アウターソール(靴底)にスポンジ材を使ってクッション性を高めたタイプ、ウレタンを使ってより高速走行できるタイプを主に用意している。どちらも石畳の路面やカーブが多いコースの特徴を考慮し、スポンジ素材の配合を変えるなど、クッション性を高めた仕様。カラーは、「日本」を象徴する赤と白をベースにしている。

 「タイプ1」は、アウターソールは、アシックススポーツ工学研究所で開発した、六角形の意匠を配した独自の形状となっている製品。六角形にすることで路面との接地面積を増やすほか、走行中は六角形のふちが路面に対して“エッジが効いた”状態になり、優れたグリップ力を発揮する。
 ミッドソールは、当社で独自に開発した軽くて衝撃緩衝性に優れたスポンジ材「Solyte(ソライト)」をベースにしている。また、反発性に優れたスポンジ材「SpEVA(スピーバ)」を、硬度を変えながらかかと部外側、前部内側、前部外側の3箇所に配すことで、走法の異なる選手に対応する。アッパーは、靴ひもを通す部分を甲の凹凸に合わせてななめに配した「アシンメトリー構造」にし、フィット感を高めている。

 「タイプ2」は、アウターソールは、前部に軽量の基布にウレタン材のトレッドを配して軽量化した「デュオソール」を採用。特に、乾いた路面でより高いグリップ性を発揮し、前方へ推進しやすくなっている。ミッドソールは、軽量のスポンジ材「HMW(エイチ・エム・ダブリュー)」を採用。アッパーは、通気性の高いメッシュ素材を使用したほか、サイドに補強材を配ししっかりとホールドすることで走行時の足のブレを抑えている。
 同社製シューズを提供するマラソンの日本代表選手は、男子マラソンの藤原新選手、中本健太郎選手、女子マラソンの重友梨佐選手。

 短距離用スパイクシューズについては、アウターソールのプレートにカーボン繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)を採用したタイプ、樹脂を採用したタイプを主に用意している。
 カラーは、アッパー全面に炎のように燃え上がる情熱を表現した“フレームレッド”と虎柄を配している。また、「タイプ1」は、アウターソールにも虎柄を用いている。

 「タイプ1」は、アウターソールのプレート全面にCFRPを採用。同社従来のプレートに用いられている樹脂と比べて、剛性・強度が高いといった特徴がある。このCFRPを特殊な技術で積層し、屈曲性が必要な踏み付け部や、より高い剛性が必要な土踏まず部など、部位によって必要とされる剛性を、積層数を変更することで調整。また、CFRPで一体成型することで、同社従来のプレートに比べて、大幅な軽量化を実現している。
 スパイクピンは、重心移動をよりスムーズにするため、小指球部分のピンを最小限にし、母指球部分とつま先の外側部分に密に配置している。これらにより、エネルギーロスが少なく、最高速度を維持しやすくなる。アッパーは、軽量で伸びにくい人工皮革を採用。フィット感とホールド性を高め、着地時や蹴り出し時のシューズと足のずれを抑える。

 「タイプ2」は、アウターソールのプレートに剛性が高く、変形しにくい樹脂を採用。特に、土踏まず部分は、樹脂を左右から巻き上げる構造にして剛性をより高めることで、かかと部の落ち込みを防ぎ、スムーズな重心移動を可能にしている。また、はしご状に成型し空間を持たせることで軽量化も実現。踏み付け部は、溝を設けることで屈曲性を高め、選手のキック力を効率よくトラックに伝えることができる。
 アッパーは、軽量で伸びにくい人工皮革を採用。フィット感とホールド性を高め、着地時や蹴り出し時のシューズと足のずれを抑える。

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