東洋ゴム工業㈱の化工品代理店組織である「化工品東洋会」は6月13日、高知県安芸郡の土佐ロイヤルホテルで第12回化工品東洋会総会を開催した。
総会にはは東洋ゴム中倉健二社長、市川貴史常務執行役員ダイバーテック事業本部長、ニシヤマの西山博務会長、アトライズヨドガワの波岡卓視社長ら化工品代理店の代表ら約50名が出席。 西山会長のあいさつに続き、議案審議に入り、平成23年度事業報告、収支報告、24年度事業計画(案)・収支予算(案)を審議、原案通り可決、承認された。
議案審議終了後、中倉健二社長が2012年度の経営方針、市川貴史常務執行役員ダイバーテック事業本部長がダイバーテック事業の基本方針を明らかにした。
この後、ダイバーテック事業本部の渡辺徹也テック材料技術部長がゴム材料における耐寒性改善事例(CVTブーツ、防振ゴム)についての新技術説明を行った。
恒例の特別講演では都築幹彦元ヤマト運輸㈱取締役社長が「クロネコヤマトの実践から 潰れる会社、生き残っていく会社」をテーマに約1時間半にわたり熱弁をふるった。当時の業界常識を破った国内初の「クロネコヤマトの宅急便」を生んだ仕掛け人である都築氏は、企業経営には信頼、硬直化の打破、人材が必要とし、なにごとにもチャレンジする発想の転換が不可欠と結んだ。
実験棟の建設を計画
中倉健二社長あいさつ
当社の前期業績はなんとか計画を達成したが、今年は厳しさが増している。ヨーロッパの金融リスク、経済不安がアメリカ、中国にも大きな影響を与えており、タイヤについては非常に大きな影響が出ている。当社中国工場からのアメリカ向け輸出がセーフガードにより少なくなっており、その分をヨーロッパへ販売していたが、欧州経済の低迷で、中国でタイヤがあふれかえっている。想定外の中にいるのが今の時代。
想定外をいかに生き延びるかはチャレンジ次第である。今日、これからお話しいただく都築氏は、チャレンジして宅配便の制度を造った。これはチャレンジの結果で、当社も東洋会の皆様と一緒になってチャレンジしていきたい。
ダイバーテック事業では、中国、タイにと海外事業を拡大しているが、ダイバーテックの技術・開発体制を強化するため新たな実験棟の建設も計画している。
海外事業戦略を加速
市川事業本部長があいさつ
ダイバーテック事業は震災以降、下期後半からの自動車生産の拡大で売上高は780億円と年度計画並みとなった。しかし、営業利益は前年比マイナス35%の21億円と当初予定を下回った。
今年に入ってからは資材関連、ホース類が動き出しており、社会インフラ整備、免震需要も合わせ期待を寄せている。鉄道用関連は円高、欧州経済不安によりヨーロッパでの需要が落ち込んでいる。 日本国内では高度成長期の下水道関連の補修需要などに我々がお手伝いできればと思っている。
今期(4~12月期)のダイバーテックの売上高はスカイツリーに合わせ、ムサシの634億円を計画している。この数字を達成させ、国内事業を盛り上げていきたい。 国内は競合他社との競争でシェアを広げることは可能だが、インフラ事業が動いているとはいえ、総額は余り変わらない。
その意味でも、今後は今持っている我々の技術を生かし、伸び率が高いアセアンにネットワークを張り、海外事業戦略を強化していく。2011年度の海外売上高比率は15%であるが、2015年度までの中計でその比率を25~30%までに高めたい。技術開発面でも現在、研究所で次のヒット商品を開発している最中。ダイバーテック事業の技術研究開発体制も集約を進めており、変化に迅速に対応し、皆様とエンドユーザーのニーズ、知見を合わせ、ダイバーテックの開発効率を上げていきたい。
新技術の商品化が役目
西山博務会長あいさつ
東洋ゴムさんの3月期業績はタイヤ事業の売上高が前期比12%増、ダイバーテック事業も2%の伸びとなり、大震災の中、頑張られたのではないかと思っている。 ダイバーテックの伸びが小さかったが、我々が一生懸命応援しようと思ってもなかなか新商品が出てこなかった。
しかし、今日は材料技術で耐寒性に優れるゴム材料の新技術の説明が行われるということですが、これらを商品化することが我々商業者の役目。設備投資もタイヤばかりに回さないでダイバーテックにも回していただきたい。