【カーボンブラック特集】 東海カーボン 石巻工場はフル操業体制へ

2012年06月18日

ゴムタイムス社

石巻工場はフル操業体制へ 7月から 年内に中国工場の増設完了

東海カーボン

 震災による石巻工場の津波被害から約1年3ヵ月半が経過、懸命な復旧により、今年4月に石巻工場が一部設備の復旧を果たし、カーボンブラックの生産を再開した東海カーボン㈱。7月にはフル操業体制に移り、今期は中国での増強も完了させ、一層のグローバル展開を加速させる。
 足元の状況については「タイヤおよび機能部品メーカーの生産は概ね堅調に推移している。タイヤ各社は円高の環境にもかかわらず、一部を除いて2008年のピーク時に比べて85~88%程度であるが、前年比ではほぼ横ばいとなっている。一方、非タイヤ製品は自動車部品が中心であるが、需要はトヨタや日産などメーカーの高い生産に支えられて、12年は前年比7%増程度が見込まれる」(同社)としている。
 今後の見通しについては「BRICs諸国を中心に自動車生産並びにタイヤ生産は堅調に推移し、トータルでゴム産業も年率3~4%程度の成長が見込まれるが、日本は機能部品や高付加価値製品以外の汎用部品は海外生産へのシフトが強まり、2015年までにピーク時に比べて30%程度のダウンも推定される」(同社)とし、とくに自動車関連部品はカーメーカーの海外生産移管の影響から減少は避けられないとしている。
 こうした事業環境下で、東海カーボンは地産地消を目指したグローバル展開を一層拡大させる。タイ工場は昨年年産5万トンの能力増強を実施し、年産18万㌧体制を構築した。中国天津(TTC)工場は今年12月に年産6万㌧の増設を行い、年産11万㌧体制となる。この結果、国内3工場の年産能力22万㌧に対して海外工場の能力は29万㌧となり、海外工場の供給力が国内を上回る。
 カーボンブラックのアジア・トップのサプライヤーを目指す同社は、将来の需要増に対応するため、早期の決断のもと新規生産拠点の確保も検討している。
 製品開発面においては、タイヤメーカーが注力する低燃費タイヤ向けのカーボンブラックの品質改良やインクジェットプリンター用自己分散型水性カーボンブラック「アクアブラック」の開発強化と採用拡大を図る考え。
 カーボンブラックの原料油価格の上昇から、今後の安定供給を理由に打ち出した製品価格改定は、ユーザーの理解を得てキロ当たり14円アップで決着した。しかしながら、今後の原料油事情は不透明であり、推移を見守っている。
 震災により大きな被害を受けた石巻工場は敷地内に8月完成予定の事務所棟の最上階を避難スペースとし、災害時の避難場所として安全対策を強化した。

(2012年6月18日紙面掲載)

 

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