カー黒代替の新素材 サンプル供給開始
大王製紙と兼松
大王製紙㈱と兼松㈱の両社は、カーボンニュートラルな超軽量中空炭素微粒子「リグニンブラック」を製造するテストプラントを大王製紙の三島工場内(愛媛県)に設置し、実証実験およびサンプル供給を開始すると発表した。
平成22年度より、両社は「リグニンブラック」の実用化に向けた研究開発を進めてきた。環境省からの補助金の交付も受け、一年を要して設備テストおよび設備設計を行い、今年3月末、月産能力5~10㎏程度を有するテストプラントの設置を完了した。今後、試運転を行い、順調な稼動が確認されたことより、実証試験およびサンプル供給を開始する。
「リグニンブラック」は、基本的なゴム補強効果を備え、高い電気伝導性を持つだけでなく、かつ軽量であるという特性を持つ。そのため、タイヤ用ゴム補強材をはじめ、顔料や導電性材料などに使用されているカーボンブラックの代替材料としても有望な素材と考えられている。
大王製紙では今後、テストプラントを用いた量産化技術の確立を目指すとともに、兼松がタイヤ用途のほか既存カーボンの代替を目的とした幅広い用途開発を視野に、ユーザーへのサンプル供給を行う。両社共同で品質の最適化に努め、実用化へ向けた開発を促進する。
リグニンは、木材の20%程度を占めるフェノール性高分子化合物。
(2011年6月18日紙面掲載)