東洋ゴム工業㈱は6月27日、タイヤラベリング制度で最高グレード「AAA―a」を達成した低燃費タイヤ「ナノエナジー0(ゼロ)」の開発に成功し、7月2日から発売すると発表した。最上位級の環境性能を満たす市販用タイヤの発売は東洋ゴムが初めて。同社は欧州でも「ナノエナジー」の販売を展開、国内はエコウォーカーとナノエナジーの2ブランド体制で販売拡大を図る。
同社は「ナノ・バランス・テクノロジー」を駆使して転がり抵抗性能「AAA」を維持しつつ、ウェット路性能「a」を満たし、ブレーキ性能を一段と高めた低燃費タイヤの開発を進めてきた。
ゴム配合設計において、シリカを増量したスーパーグリップポリマーを採用することでウェットグリップ性能が向上、さらにスーパーアクティブポリマーの最適温度制御混合を実現することで転がり抵抗の低減を両立した。制動時の接地圧均一化では「AAA―b」を達成した「ナノエナジー1」との対比でパタン浅溝化でブロック変形を制御、接地圧分布均一化によりウェットグリップが向上し、最高峰の環境性能を発揮する「ナノエナジー0」が誕生した。
新商品発表会には中倉健二社長が出席し、開発の経緯などについて言及した。「2001年に伊丹に技術センターが開設、タイヤに関する技術開発を集中して行ってきた。材料だけでなく解析・分析技術、さらに製造技術を含めて匠(たくみ)の精神で開発したのが低燃費タイヤのナノエナジーであり、その最高峰のナノエナジー0が誕生した」などと語った。
同社の低燃費タイヤは、エコウォーカーとナノエナジーシリーズの2ブランド体制。国内では車のカテゴリーによる住み分けを狙い、欧州ではナノエナジーの販売に注力する。
「エコウォーカーはラベリング制度でA―cのランク。ナノエナジーは転がり抵抗性能がトリプルAを達成しているので、当面は併売する。将来的により性能の高いものが求められるようになれば統合する可能性もある」(中倉社長)。
販売を開始しているナノエナジー2については、本年10月から欧州市場並びに豪州で発売、来年7月にはアジアでの販売も計画している。ナノエナジー1および新商品のナノエナジー0は市場適合性を検証し、確認が整い次第、順次グローバル展開する。
ナノエナジー0の国内販売は1サイズ(195/65R15 91H)からスタートし、順次サイズ拡大を図る。「ナノエナジー」シリーズの販売戦略は2015年に全体で国内が約50万本、海外は約70万本の合計120万本を見込んでいる。
低燃費タイヤの市場動向について、中倉社長は「日本のマーケットは現在40%程度。今後も着実に伸び2015年には60%ぐらいまで拡大するのでは。欧州では法制化で基準に満たないタイヤの販売はできなくなり、確実に増えるだろう。将来の需要増を見越して、中国工場やマレーシア工場でも低燃費タイヤの生産を視野に入れている」と述べた。
タイヤメーカーとして初の最高グレード商品を上市することに関して中倉社長は「低燃費タイヤの開発に着手した段階から商品化することを目標としていたので、技術を結集して達成できたことは誇りに思う」と語った。なお、ブリヂストンも今夏に「AAA―a」の低燃費タイヤを発売することをすでに発表しており、低燃費タイヤ市場の販売は激しくなることが予想される。