タイガースポリマー㈱の渡辺健太郎社長は6月28日、同社本社(大阪市)で記者会見を行い、12年度の事業方針などについて語った。渡辺社長は「前期は震災やタイ洪水などにより大幅な収益減となったが、本年度は自動車生産の回復や内需は復興需要の本格化などに期待され、メキシコ工場の建設、中国工場において、将来の生産ライン組み込みを想定した倉庫棟の新設など、グローバル展開を一層強化して顧客満足度を高め、体質強化に努めたい」などと意欲を示した。
前期(12年3月期)の業績は震災並びにタイ洪水などの影響により大幅な減益となったが、懸命かつスピーディな復旧策により、タイ工場は今年4月から通常の生産体制に戻り、本年度は自動車部品需要の回復から収益改善を目指す。
「新年度の4月、5月はタイ工場の生産体制が整ったものの人材などソフト面の影響から、やや苦戦したイメージがある。しかし、ハード、ソフト面とも早急に充実することで第2四半期には大きな改善を見込み、9月中間期で業績は増収増益を計画、下期も回復基調が予想される」(渡辺社長)とし、通期の連結業績は売上高290億円、前期比6・9%増、営業利益12億円、同46・4%増、経常利益12億円、同33・9%増、当期純利益10億円、同130・6%増と大幅な収益改善を見込んでいる。
本年度の事業方針については新製品開発と新規事業の創出、新興国市場の開拓、中国子会社の増強とメキシコ工場の建設を営業戦略とし、生産戦略では工場稼動率の向上や材料見直しによるコスト削減、さらに原材料のグローバル調達化によるコスト削減などを積極推進する。
「メキシコ工場は専任スタッフが赴き、間もなく建設着工する。完成は来年4月の予定で、14年6月をめどに操業する計画で進めている。中国工場は、現在の建物が4800平方㍍でフル生産を続けており、製品在庫のスペースが足らないことから隣接地に6600平方㍍の建物を本年度内に建設する。新設の建物は当面は倉庫として活用するが、2015年以降には新たな生産ラインを導入する計画」(渡辺社長)。今期の設備投資は約20億円を計画しており、このうちメキシコ工場関連は第1期として約4億円。
新商品開発では「自動車部品において、まだまだ金属部品から樹脂化への可能性があり、自動車メーカーとの共同開発で着実に進めていく」(渡辺社長)とした。