アタカ大機(小川泰雄社長)は4日、溶融飛灰からの放射性セシウムの分離除去技術を開発したと発表した。 同社は、福島原発事故後、焼却灰から国の埋立基準を超える高濃度の放射性セシウムが検出され、関東地方を中心に各地でその保管場所が逼迫し問題になっているが、同技術は、焼却灰や飛灰の溶融安定化過程で発生する溶融飛灰を洗浄して放射性セシウムを水へ抽出し、水に移行した放射性セシウムを、プルシアンブルーを用いた特殊な凝集沈殿によって分離除去・濃縮し、放射性二次廃棄物の減容化を実現する技術だと述べている。
プルシアンブルーはフェロシアン化カリウムと鉄イオンを反応させることでナノ粒子として合成されるが、粒径が小さく固液分離が困難。そのため、造粒するか多孔質無機体に担持して利用する方法が提案されている。
同社は、プルシアンブルーを合成する際に用いる鉄イオンが水処理で一般的に用いられている無機系凝集剤であることに着目し、鉄イオンを過剰に加えることで、発生したプルシアンブルー微細粒子を凝集して固液分離の問題を解決し、鉄イオンを過剰に加えることでより除染効果を高め、放射性二次廃棄物の減容化を図ることができると語る。
サンプル試験では、まず約85,800Bq/kgの溶融飛灰を水で洗浄して埋立可能な5,000Bq/kg(国の基準値8,000Bq/kg以下)とし、次に飛灰抽出液を上記の特殊凝集沈殿法を用いて処理したところ、発生した汚泥(二次廃棄物)は最大で1億4,600万Bq/kg(乾燥物換算)となり、原溶融飛灰よりも1,700倍濃縮できた。
同社では、最終処分場に持ち込まれる前段階で焼却灰から放射性セシウムを除去することが必要とし、特に高温で処理されるために高濃度に濃縮された放射性セシウムが検出される溶融飛灰に着目し、今回の技術開発に至った。同技術は焼却灰や飛灰にも容易に展開できる技術であるため、今後長期にわたり放射性セシウムを含むがれき、草木類、農畜産物の焼却処分により発生する焼却灰や飛灰の除染・減容化に役立つ見込み。