双日は5日、100%子会社の双日プラネット(田中勤代表取締役社長)が、南米最大の化学メーカーであるサンパウロのブラスケム社から、サトウキビ由来のバイオプラスチック樹脂「グリーンポリエチレン」の販売代理権を獲得したと発表した。日本に加えて、アジア・オセアニア地域への販売も行い、3年後には年間取扱量2万トン規模を目指す。 双日プラネットは、従来の石油由来樹脂において長年の取扱実績があり、今回のグリーンポリエチレンにおいても、樹脂から加工製品までのサプライチェーン構築で培った販売ルートやノウハウを生かしていく。
グリーンポリエチレンは、主にポリ袋やプラスチック容器の原料となる植物由来の樹脂。サトウキビの育成段階でCO2を吸収しているため、廃棄物として焼却される際のCO2排出量をゼロ(カーボンニュートラル)とみなすことができる。そのため、製造・輸送工程のCO2排出量を含めても、従来の石油由来ポリエチレンに比べ、CO2排出量を最大70%削減することができ、石油依存からの脱却と地球温暖化防止に貢献する。
同社とブラスケム社は、自動車タイヤなどの合成ゴム原料のブタジエンや、ハイオクタンガソリンの添加剤となるバイオマス燃料「バイオETBE」の分野において実績がある。また、同社は、ブラジルを代表する大手コングロマリットでありブラスケム社の親会社でもあるオーデブレヒト社と共に、サトウキビ由来のバイオエタノールメーカーとして世界最大級のエー・テー・アガー・ビオエネルジア社(以下ETH社)に出資しており、今回のグリーンポリエチレンの一部も、ETH社のバイオエタノールを原料として使用した。
バイオプラスチックの世界市場は、2010年の世界生産量64万トンから、2016年には370万トンまでに成長すると期待されており(米国調査会社BCCリサーチ社調べ)、同社は、今後拡大する需要を見据え、植物由来の化学品・樹脂原料「グリーンケミカル」事業に注力していく方針。既に米国のミリアント社と共同で、主に農業用フィルムや生分解性のレジ袋などに用いられる生分解性樹脂の原料「バイオコハク酸」の日本・中国・韓国・台湾における独占販売権を保有している。同社は今後も、グリーンケミカル事業を通じ、石油由来製品に頼らない化学品・樹脂分野の発展や、地球温暖化防止に貢献し、持続可能な社会の構築に寄与していくことを目指す。