NEDO ベトナムで産業廃棄物発電実証事業に着手

2012年07月09日

ゴムタイムス社

 NEDOは6日、ベトナムにおいて初の産業廃棄物発電実証事業に着手することを発表した。 この事業は、我が国が有する高温焼却技術、発電技術、環境対策技術を総合的に実証し、その効果を可視化することにより、当該技術の普及を促進するとともに、同国におけるエネルギー需給の逼迫と廃棄物処理問題の同時解決に貢献することが目的。事業の着手にあたって6日、NEDOとベトナム天然資源環境省およびハノイ人民委員会は、基本協定書を締結した。

  同事業は2014年6月まで実証運転によるデータの評価、検証を行う予定。また、実証事業終了後は運転状況の追跡及びメンテナンス指導などによるフォローアップを行うことで、同国への技術の普及を図る方針。事業の予算規模は24億円、日立造船に委託する。

 同国では、近年の急速な経済発展に伴いエネルギー不足、廃棄物の増大、環境汚染の深刻化等への対策が急務。中でも、工業団地等から排出される産業廃棄物は、エネルギー源として有効利用されず、埋立処分されているため、周辺環境への悪影響が懸念されている。さらに、埋立地の確保等には限界があることからも、早急に産業廃棄物の減容化に取組むとともに、併せてエネルギー源として活用する必要が生じていた。

 こうした背景の中、同事業はハノイ都市環境公社が管理するナムソン処分場に収集される産業廃棄物を対象に、日本国内で豊富な実績を有する産業廃棄物焼却炉(ロータリーキルン・ストーカ式焼却炉:75t/日×1基)を用いた焼却発電技術の適用可能性を検証する。同技術の導入により、未利用エネルギーの有効利用と環境負荷低減の効果を検証し、同国におけるエネルギー・環境問題の解消を目指す方針。

 同実証の成果によって、主に産業廃棄物処理に使われる回転式の炉に燃焼空気を段階的に吹き込む独自技術を使い、様々な種類の産業廃棄物を高温で安定的に焼却処理し、厳しい排ガス規制に対応することが可能になる。また、焼却によって得られる排熱を高効率に利用した発電設備(蒸気タービン:1,930kW)を併設し、施設内利用後の余剰電力を電力会社に売電することで周辺施設への電力供給に貢献することも可能となる。

 同法人は、同事業の産業廃棄物発電技術実証の成果を通じて、同国への本技術の定着化と廃棄物管理、環境法規の整備・強化に向けた働きかけを行い、最終的にはASEAN全域への技術の普及を目指す方針。

実証設備のイメージ

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