三菱樹脂㈱と積水化学工業㈱は10日開催された両社の取締役会において、両社の管材事業における包括合意締結を決議したと同日発表した。
三菱樹脂は汎用塩ビ管の管材関連事業(架橋ポリエチレン管事業を除く)を積水化学に譲渡、管材事業から撤退する。 積水化学は三菱樹脂の管材事業を譲受け、両社の管材事業を統合、管材を中心とする基盤事業の収益力を強化する。
三菱樹脂は住宅着工件数の減少や公共投資の縮減により厳しい事業環境下にある管材事業の再生には自社の枠を超えた取り組みが不可欠であるとし、管材事業からの撤退に踏み切った。一方、積水化学は今後想定される市場環境の変化や世界との競争に対応すべく、さらなる経営効率化や付加価値向上を図る必要があると考え、事業譲受けに合意した。
積水化学は両社の管材事業を統合し、①取扱量アップによる原材料調達力の向上②生産・物流など徹底したコスト効率化の追求③新たな営業接点・経営資源によるバリューチェーンビジネス・総合力展開の拡大④リサイクル成型など要素技術活用による新展開⑤優れたプラスチック加工技術を活用した世界展開ーを図ることで管材のトップメーカーを目指す。
汎用の塩ビ管市場は年間30万トン強。市場シェアトップはクボタシーアイ、次いで積水化学、三菱樹脂の順。今回の事業統合により積水化学がシェアトップと肩を並べることになる。
積水化学が譲受ける管材事業の対象額は約230億円。積水化学は生産体制の究極効率化,地勢リスク分散を図ることができ、積水化学単独時に比べ15%の操業度アップが見込めるほか、三菱樹脂販売と菱樹商事の管材事業のみを統合一体化し、拠点統合による営業生産性向上を図り、2015年度カンパニー売上高3500億円を目指す。
会見で三菱樹脂の黒山薫常務は、「事業譲渡により減収にはなるが、年間数億円プラスアルファの利益改善が見込める」と述べた。
譲受け事業の対象は次の通り。
①三菱樹脂の管材事業に関わる人員、資産、契約、知的財産権等
②㈱三菱樹脂販売、菱樹商事㈱の管材事業に関わる人員、契約等
③菱琵テクノ㈱の管材事業に関わる機械設備の一部
④三菱樹脂が保有する4社(東洋化学産業㈱、羽生プラスチック㈱、無錫積菱塑料有限公司、㈱エムアンドエスパイプシステムズ)の管材関連会社の株式