中国タイヤ生産前倒しで増産 15年には日産3万本体制へ
住友ゴム工業は7月16日、中国・中国湖南省長沙市に建設した中国新タイヤ工場「住友橡膠(湖南)有限公司」の開所式を行った。現在、中国は世界最大の自動車市場であり、内需拡大に牽引され自動車生産・販売台数が急伸している。これに伴う自動車用タイヤ需要も急拡大しており、補修用タイヤの推定需要は、昨年末で1億9千万本と非常に大きく、今後も急速な需要拡大が予想されている。同社では中国・湖南工場の稼動により、中国市場での生産販売体制をさらに強化していく。
開所式には住友ゴム工業池田育嗣社長、住友橡膠(湖南)有限公司の高見昌文董事長、政府関係者、星沙産業基地指導者など、約350名が出席した。開所式で池田社長は、「着工から1年半という短期間で本日の式典を迎えることができた。住友ゴム(中国)を中心とした住友ゴムの中国タイヤ事業は、発展する中国自動車産業とともに歩み、成長してきた。
ここ湖南工場では第1期プロジェクトとして乗用車用タイヤを年間500万本生産する計画をしており、第2期プロジェクト完成後には1千万本を生産する工場に拡大する計画だ。住友ゴムグループは、常熟工場にこの湖南工場を加え、グループ一丸となって中国におけるタイヤ事業の更なる発展に尽力していく」とあいさつした。
中国で2ヵ所目の生産拠点となる湖南工場の投資額は2億9700万ドル。敷地面積は55万平方メートル。日産能力は13年末までに1万5000本、15年末には3万本まで順次引き上げる。
2010年のプロジェクト開始当初の計画では、17年末に日産3万本規模の工場にする予定だったが、中国の旺盛な需要に対応するため、2年前倒しでの引き上げを決めた。
11年5月から建築工事を着工し、12年3月には試作用タイヤの1本目を生産した。工事着工からタイヤ生産まで1年かかっておらず、住友ゴムグループ最速の立ち上げとなった。
同工場では当初、市販用乗用車用タイヤの生産から始め、13年には市販用SUVタイヤの生産を開始し、14年には自動車メーカー向けのタイヤの生産を開始する予定。
今までは常熟工場から中国全土にタイヤを供給していたが、武漢(湖北省)、成都(四川省)、広州(広東省)などの主要都市には、距離的に有利な湖南工場からタイヤを供給する。すでに、湖南省や広東省の国内外自動車メーカーから引き合いが来ているという。
中国の乗用車用タイヤ市場は、2013年に2億本、2020年に3億本規模の市場となり、自動車保有台数の増加とともに、補修市場が大幅に拡大し、17年以降も成長を維持すると予測されている。
中国・湖南工場の概要
▽会社名=住友橡膠(湖南)有限公司▽代表者名=高見昌文氏▽所在地=湖南省長沙市▽設立=2010年9月▽事業内容=乗用車用ラジアルタイヤの製造・販売▽総投資額=約297百万米ドル▽資本金=約219百万米ドル▽資本構成=住友ゴム100%▽生産開始=2012年7月▽日産能力=3万本▽敷地面積=55万平方メートル