宇部興産(竹下道夫社長)は23日、宇部ケミカル工場(山口県宇部市)での液化炭酸製造設備の増強に着手したと発表した。炭酸ガスの有効利用と排出削減及び液化炭酸の需要増への対応が目的で、2013年夏に完工予定。
同社のグループ会社である宇部アンモニア工業のアンモニア製造工程で副生する炭酸ガスを原料として、液化炭酸製造設備の生産能力を3万t/年から8万t/年に増強する。
液化炭酸は、溶接用のカバーガスや冷却用途に需要が安定的に拡大しており、今後、農業用途、各種産業用途などで需要の増加が予想されている。また、日本国内では事業再編等により液化炭酸製造拠点が減少傾向にあることから、市場の安定供給のニーズにも対応している。原料の炭酸ガスを生産する宇部アンモニア工業は、国内最大の液化アンモニアメーカーで、国内で唯一、石炭ガス化プロセスを用い、石油コークス等の固形燃料を原料にアンモニアを生産しており、高いコスト競争力を有している。
同社は、今回の設備増強により競争力に優れる液化炭酸を安定・長期的に供給することが可能となるとしている。
また、同社は堺工場にも液化炭酸の製造設備(9.9万t/年)を有しており、これら国内2拠点を最大限に活用し、今後の需要増大に合わせて供給体制を整える方針。