JSRの2013年3月期第1・四半期連結決算は売上高が928億5500万円、前年同期比10・2%の増収となったが、エラストマー事業での合成ゴムの売上原価増や販売価格下落が響き、営業利益は87億1800万円、同5・6%の減益となった。四半期純利益は法人税の減額により68億1600万円、同25・5%増となった。
売上高は多角化事業の回復が鈍いものの、エラストマー事業の合成ゴム、合成樹脂販売が前年同期を上回った。
エラストマー事業部門の売上高は、前年同期比17・9%増の494億5900万円、営業利益は前年同期比16・1%減、44億100万円。 エラストマー事業の合成ゴム販売は震災復興による生産・販売の回復、前年度能力増強を実施した溶液重合SBRの拡販、主要原材料価格の上昇に対応した価格改定等に加え、前年同期に震災の影響で操業停止した鹿島工場の出荷が回復し増収となった。当期の合成ゴム出荷数量は16万5000㌧強、このうち輸出は3割。
営業利益は前年同期(操業停止した鹿島工場の固定費を特別損失に計上)に比べ売上原価が増えたほか、中国、アジアでの補修用タイヤの需要ダウンによる生産減、原料市況の軟化による販売価格下落が合成ゴムの収益を圧迫した。
合成樹脂事業部門の売上高は、前年同期比12・9%増の131億9500万円、営業利益は前年同期比346・3%増の4億8500万円と大幅な増益となった。アミューズメント向け、欧州オフィス機器向けで需要が減少したものの、震災復興により特に自動車用途での販売が大幅に回復した。
多角化事業部門の売上高は、前年同期比1・3%減の302億9900万円、営業利益は前年同期比1・3%減の38億3100万円となった。
半導体用材料は、スマートフォン、多機能携帯端末向け等の半導体需要は堅調に推移したが、フラットパネル・ディスプレイ材料はパネルメーカーの稼働率が低調に推移
し、液晶ディスプレイ用材料の売上高は前年同期を下回った。耐熱透明樹脂(アートン)は光学フィルム向けに3割の伸び。 通期業績予想は、補修用タイヤ需要も在庫調整を終え、7月以降、実需に見合う生産が見込まれることから、「2012年1~3月の前期を底に回復しつつある」とし、期初予想を据え置いた。 原料の市況軟化は4~6月がボトムとし、7~9月期の原料市況をナフサ価格5万円弱、ブタジエンスポット価格をトン当たり2300~2400ドルと想定。