㈱クラレは、酢ビ・ポバール系事業の拡大戦略の一環として、米国モノソル社の買収を今年5月に発表し、手続きを進めてきたが、所管当局の正式承認を受けて買収手続きが完了したことを7月25日、明らかにした。
今回の買収の狙いは、ポバールフィルム事業において光学用だけでなく、各種包装材料向けや人工大理石離型用など、産業用も含めたトータルのグローバルリーダーを目指すため。
モノソル社は洗剤や農薬、染料などの個包装、人工大理石離型用など産業用ポバールフィルムのリーディング・カンパニー。今回の買収により、クラレはポバールフィルムに関して、液晶ディスプレイの基幹部材である偏光フィルム向けの光学分野だけでなく、広範な産業分野においてもグローバルリーダーとなる。
買収完了の発表会には、取締役常務執行役員の村上敬司樹脂カンパニー長が出席し、買収敬意と今後の運営について説明した。
村上執行役員は「買収の最大の狙いは、水溶性ポバールフィルム市場への本格参入で、ポートフォリオを広げることにある。酢ビ・ポバール系事業は、クラレが日本並びにアジア市場を、そしてモノソル社が米州で事業展開することで地域戦略を一層強化したい。買収後も名変更などは行わず、基本的な運営体制は買収前のものを継続する」などと語った。モノソル社は今後、クラレの米国子会社、クラレホールディングスUSA傘下の産業用ポバールフィルムの製造、販売会社として運営される。
〈モノソル社の概要〉
▽事業所=米国、英国(工場)
▽代表者=スコットベニング氏
▽従業員=約300名
▽事業内容=産業用ポバールフィルム(洗剤・農薬・染料などの個包装、人工大理石離型用など)の製造・販売
なお、モノソル社のクラレ連結決算への反映は、連結貸借対照表は13年3月期第1四半期から、連結損益計算書は13年3月期第3四半期からとなる。
酢ビ・ポバール系事業は、酢酸ビニルを主要原料とするポバール樹脂、ポバールフィルム、ポリビニルブチラール(PVP)樹脂、PVPフィルム、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂、ビニロン繊維に代表される製品群からなる事業。