昭和電工(市川秀夫社長)は7月27日、樹脂複合材用カーボンナノチューブ(CNT)事業の効率化、本格的な事業化のため、製品グレードを繊維径約150nmのVGCF‐Hに特化すると発表した。
これに伴い、繊維径約15nmのVGCF‐Xについては今後マーケティング活動を停止する。また、リチウムイオン電池向け事業については、同社の中核事業として今後も注力を続ける方針。
同社はCNTの一種であるVGCF(繊維径150nm)の設備を1996年に川崎事業所内に竣工し、リチウムイオン電池の正・負極添加剤用途での販売を開始した。その後、より分散性を改良したグレードであるVGCF‐Hの販売を開始し、リチウムイオン電池用途に関しては既にVGCF‐Hにグレードを統合している。リチウムイオン電池用途向けのCNTの販売は順調に増加基調にあり、川崎事業所の年産能力についても当初の40トンから現行の200トンまで順次増強を実施。
樹脂複合材用途に関しては、2010年3月に開発したVGCF‐X専用の年産能力400トンの量産設備を当社大分コンビナート内に設置していたが、今回の特化に際し、同設備は2012年6月までに休止した。 なお、同社は今回の設備休止にともない、2012年第2四半期に減損損失を計上している。