JSR(小柴満信社長)は6日、2011年度の同社グループのCSR(企業の社会的責任)に関する取り組みをまとめた「JSRグループCSRレポート2012」を発行したと発表した。英語版は9月に発行する予定。
今年度の特集のテーマは「グローバルな課題に対してJSRグループが果たす役割」。社外有識者との対談も交え、同社グループの目指す方向性と現在の取り組みを具体的な事例で紹介している。活動報告については、経営方針に準じて「ステークホルダーへの責任」別にまとめ、未来に向けた同社グループのさまざまな取り組みを報告している。
同レポートは、同社単体および国内外のグループ企業を含む同社グループ全体(連結子会社全30社および持分法適用会社全6社、その他2社)を範囲とし、冊子とWEBの2部構成としている。WEB版では、冊子版の内容に加えて、CSRマネジメント、レスポンシブル・ケア(環境・安全・健康)、ステークホルダーに対する責任について具体的な取り組みを詳しく報告している。
なお、報告書の信頼性を担保するため、日本レスポンシブル・ケア協議会による第三者検証を受審したほか、取り組みに対する客観的な評価として外部専門家による第三者意見を例年どおり受領した。
2012年4月には、社会的責任投資(SRI)指標である「FTSE4Good Index Series」の組入れ銘柄として9年連続で選定されるなど、CSRに関する同社の取り組みは国内外で評価されている。
同レポートには、最近1年間の主な活動実績として、グローバルな課題に対する取り組み、CSR調達の取り組み、社会貢献分野における新たな取り組み、生物多様性方針の策定が掲載されている。
グローバルな課題に対する取り組みとしては、世界的な二酸化炭素排出削減に対する認識の高まりを反映して低燃費タイヤへの需要が増加していることを受け、安全性を維持しつつタイヤの転がり抵抗を低減できる溶液重合SBRの供給体制を計画的に整えていく。
CSR調達の取り組みとしては、サプライチェーンにおけるCSR活動の実践・推進を目指し、国内外の取引先について、原料資材の購買金額で95%までカバー範囲を広げて調査を実施。また、工事関係取引先まで対象に加えた。
社会貢献分野における新たな取り組みとしては、教育支援活動の対象を拡大、新たに半導体産業の工業団体SEMI主催のハイテクユニバーシティ(高校生対象)を四日市工場で開催。また、昨年発生した東日本大震災に対し、社員有志(延べ203名)による被災地での復興支援ボランティア活動を実施した。
生物多様性方針の策定としては、「経営方針」の中で掲げた生物多様性保全への積極的な貢献に関して、新たに同社グループとしての方針ならびに具体的な活動計画を策定し、取り組みを始動。特に、工場および研究所の土地の利用に関して、同社もメンバーとして開発に関わったJBIB(一般社団法人「企業と生物多様性イニシアチブ」)の「いきもの共生事業所推進ガイドライン」の「土地利用通信簿」を活用し、各事業所敷地の生物多様性への配慮度合いを100点満点で定量評価し、改善につなげて行く取り組みに着手した。