ダウ・ケミカル タイ工場で封止材用フィルム生産開始

2012年08月23日

ゴムタイムス社

 ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー(アンドリュー・リパリス会長兼CEO)は17日、タイのマプタプット石化コンビナートで、太陽光発電ソーラーパネル向けのENLIGHT(エンライト)ポリオレフィン封止材用フィルムの生産を開始したと発表した。

 同社高性能プラスチック事業部門太陽光発電事業担当のビジネス・ディレクター、ジエリー・プリチェット氏は、「この革新的な封止材用フィルムに対する市場の需要は依然として極めて高く、タイの生産設備が加わったことで、ダウはこの急成長分野のニーズに対応していくことができるようになりました」と述べている。

 最新鋭の製造設備を備えた「エンライト」工場がマプタプット石化コンビナートで稼働したことにより、同社は世界で同製品の生産能力を直ちに2倍に増強することができるようになった。また、ドイツのシュコパウに第3製造拠点も建設中であり、生産能力をさらに拡大する予定。同社はこれらの工場に加え、2010年に稼働開始した生産設備を米国オハイオ州フィンドレーに保有している。

 マプタプットの工場は最新の省エネ技術を採用して建設されており、タイでの事業成長戦略を進める上でのけん引力のひとつとなる。この新生産設備によって約35人の新規雇用が創出された。この結果、タイの従業員総数は約1000名に及び、過去4年で2倍近くに増加。同社にとって、タイは、アジア太平洋地域で最大の製造ハブ国。1978年からタイで生産施設を操業しており、タイに進出してから45年以上の歴史が刻まれている。

 同社のポリオレフィン系封止材フィルムは、電気特性に著しく優れ、耐湿性も改善されているため、モジュールの耐用年数を伸ばすことができる。同社調査では、同製品を使用して製造した太陽光発電ソーラーパネルは、1万時間以上にわたる高温多湿条件での試験で効率性を持続するという結果が得られた。電気絶縁性が高いことから、同製品を使用して製造されたパネルは、PID(モジュールの性能劣化)現象発生の抑制においても大幅な改善を示している。
 また、パネル・メーカーでのラミネーション工程のサイクルタイムは最大30パーセント短縮され、生産能力や歩留りの向上につながる。同製品のポリオレフィン技術は、腐食の原因となる酢酸が発生しないため、メーカー側の装置やモジュールへのダメージを抑えると期待されている。今年、テュフ ラインランド(TUV Rheinland)により実施された、ダウのフィルムを使用したソーラーパネルの性能試験では、業界規格(IEC 61215)のすべてをクリアした。

 同社は多岐にわたる商用グレードの「エンライト」封止材用フィルムを提供、顧客仕様の製品を開発することが可能としており、成長が見込まれる新たな分野や用途に向け、新世代「エンライト」フィルムの開発を継続する。太陽光発電モジュールの需要は依然として堅調で、今後数年間、世界で年2パーセントの伸びを続けると予測される。
 同社は、太陽の力を利用してエネルギーを生み出す技術開発に注力しており、これらの技術は、ソーラーファームの他、リジッドタイプやフレキシブルタイプの太陽光発電ソーラーモジュールなど、さまざまな用途で活用される見込み。同製品の他に、パックシート製品用のADCOTE(アドコート)溶剤系接着剤およびMOR‐FREE(モアフリー)非溶剤系ラミネート接着剤、光電池の製造に用いる電子材料、ポリグリコール熱伝導流体、住宅用のDOW POWERHOUSE(ダウパワーハウス)ソーラー屋根も生産している。

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