住友ゴム工業は6日、世界トップレベルの優れた計算能力を有するスーパーコンピュータ「京」を活用することで、これまでのスーパーコンピュータでは再現が難しかった材料中の分子・ナノレベルの構造から、タイヤ用ゴムの低燃費性能や摩耗性能などをシミュレーションする技術を確立し、高性能・高品質タイヤへの新材料開発を加速させると発表した。
同社では昨年発表した高性能・高品質タイヤの新材料開発技術「4D NANO DESIGN」(フォーディ ナノ デザイン)により、タイヤ用ゴム材料開発を促進させている。しかし、タイヤに求められる性能の多様化、高度化が今後も急速に進むことが予想される中、さらに素材開発をスピードアップさせるためには、分子・ナノレベルの構造からタイヤ用ゴムの低燃費性能や摩耗性能までを予測し、素材設計することが重要となるが、これまでのスーパーコンピュータでは、計算規模が限られていた。
今回、世界トップレベルのスーパーコンピュータ「京」の能力をフルに活用し、500万ノード時間という大規模シミュレーションを行うことで、従来のスーパーコンピュータでは予測困難な現象を解明し、新素材開発を加速させることが可能となる。
また、シミュレーションだけでなく、原子・分子レベルのゴム構造の可視化解析が可能なSPring‐8・SACLA(放射光)やJ‐PARC(中性子)などの大型研究施設の活用、産学共同研究による理論も複合して取り入れ、「シミュレーション」「可視化・定量化実験」「理論」という科学的アプローチを結集させた取り組みを実施することで、地球環境へ配慮した、安全・安心な、高性能でさらに高品質なタイヤの開発を通し社会貢献していく方針。