台湾機械メーカーで、世界のゴム用射出成形機市場で急速にシェアを拡大していると指摘するその筆頭格のひとつが台湾(台中県)に本拠を構える磐石油圧工業、別名パンストーン社。その日本法人で、日本のパンストーン製品総発売元、日本磐石(多留幸男社長)では台湾の台頭の鍵は「大量生産による低価格戦略」と最初から「世界市場をターゲット」においたグローバル展開の戦略だという。
近年はタイ、インドネシアなど東南アジアへと市場拡大、販路網の充実に成功している。さらに今後はインドへの展開も視野にいれている。
同社の注力機械は、ゴム用真空プレス、同タテ型インジェクションマシン(射出成形機)が中心で、大きな特徴は低価格実現とシンプルで簡単操作ができる点。
昨年の業績によると「業績は増収増益で、昨年のタイの洪水では、洪水の影響で台湾の機械の注文が大量によせられ、その勢いは止まっていない状態。機械の用途動向として、機械の比率でいうとコンプレションプレス6割、射出成形機4割」(多留社長)。
急速な需要拡大を受けて、同社では販売製品のメンテナンスサービス部門の充実・強化体制作りが欠かせないと判断。成形機などの維持・保守管理部門を東京地区と神戸地区にそれぞれ設置し、迅速な顧客サービス網構築にまい進している。
「生産台数は増加しており、生産台数が増えるにつれて、各国の意見が取り入れられ、機械の品質もますます良くなってきている。外国人が機械を操作するので操作はシンプルなものが重要であり、コストが最優先」(多留社長)。
日本の景気動向では、「今後、日本が景気回復の要因があるとすれば、昨年の東日本大震災の復興需要によるインフラ整備または介護などの医療分野しかないのではないか」(多留社長)。
下期の業績予想は「市場では、タイに引き続き、インドも伸びていくのではないか。しかし今後の海外の自動車生産動向によっては不透明感がある」(同社長)。
パンストーン社は世界最大のゴムプラスチック見本市、ドイツの『K』展への台湾機械メーカーの大挙出展し、今後も世界の展示会に出展を予定している。こうした勢い見る限り、汎用ゴム成形機の世界市場におけるイニシアティブは、台湾勢が今後も握っていくと見てよいと同社では考えている。
2012年09月13日