ブリヂストンは7日、同社グローバル研修センターで、資源循環と低燃費を高次元で両立させるトラック・バス用タイヤ製造技術の開発に成功したと発表した。
同社は、2007年のバンダグ社買収以降、リトレッドタイヤを活用したソリューションビジネスをグローバルに展開すると共に、バンダグ社のリトレッド技術の応用研究を推進してきた。
通常、新品タイヤは全ての材料を一度に加硫することで製造するが、リトレッドタイヤの製造方法は、別々に加硫されたケース部分(一次寿命を終えたタイヤ)とトレッド部分(路面と接するゴム)を、後から貼り合わせることを特徴としている。同社はこの基本的な製造方法の違いに着目、ケース部分とトレッド部分をそれぞれ最適な条件で製造することで、タイヤの総合性能の向上につながることを発見した。
2009年からの研究を経て今回開発に成功した技術は、この製造方法に加え、ケース部分とトレッド部分に新たに開発したコンパウンドを搭載することで、転がり抵抗を35%低減、リトレッド可能回数を増やし、タイヤの寿命を1・5倍に延ばすなどの耐久性向上を実現した。発表会では生産技術基礎開発担当付フェロー川合誠一郎氏が「生産コストは上昇するが、お客様にとってはそれを補って余りあるメリットがあります」と述べた。
同技術を活用することで、コスト削減や燃費改善等、様々な価値を顧客に提供していくと同時に、資源の有効活用やCO2排出量の削減など環境面でも貢献することが可能になる。同社は顧客のコスト、資源、CO2の3つを同時に削減できるという意味で、この新技術に「TRISAVER」(トライセーバー)と名付け、今後実地評価を進めて市場性のある技術へと完成度を高め、早期実用化を目指す。また、同時にITシステムを利用して顧客のニーズに最適なトレッドを提案するなどのサービスを組み合わせ、新たなビジネスモデルとして提案していく方針。川合氏は「ケースとトレッドが持つ本来の性能を最大限に引き出して、お客様のトータルコスト削減に貢献するというのが、この新しいビジネスモデルです」とコメントした。
同社グループは2050年を見据えた環境長期目標を策定、「100%サステナブルマテリアル化」や「温室効果ガス排出削減に関するグローバル目標への貢献(CO2排出量50%以上削減)」などを掲げ、今後も様々な活動を進めていく。