ランクセス ドイツの熱可塑性ガラス繊維メーカーを買収

2012年09月18日

ゴムタイムス社

 ドイツの特殊化学品メーカーのランクセス(LANXESS)は、ドイツの熱可塑性ガラス繊維メーカー、BondーLaminates GmbH(以下、BondーLaminates社)を買収したと9月18日、発表した。

   この買収により、ランクセスは自動車産業向け軽量化技術のリーディングサプライヤーとして、軽量化材料の革新的な製品ポートフォリオの強化を図る。買収価格は非公開。売買契約締結後直ちに効力を持つ。  BondーLaminates社は、1997年にドイツのノルトライン・ヴェストファーレ ン州ブリーロンで設立。 同社は、ガラス繊維などで強化したオーダーメードの熱可塑性複合シート開発、および製造に特化している。この熱可塑性ガラス繊維複合技術を用いた製品は、「TEPEX」の商標名で販売されている。ランクセスは、すでに2006年から、 BondーLaminates社と共同で自動車産業において複数のプロジェクトを成功させている。金属部品と比べて加工が容易な熱可塑性ガラス繊維複合シートは、優 れた機械的性質を備え、最大40%まで重量の軽量化を可能にするという。これにより、自動車産業では生産コストの削減、デザインの自由度の向上、 および一層の安全性の向上を図ることができるだけでなく、燃費の向上と 二酸化炭素排出量の低減も実現できるとしている。  ランクセスのCEOであるアクセルC.ハイトマン氏は、「ランクセスは、高まる『グリーンモビリティ』へのニーズに対応する革新的な製品のサプライヤーとして、その位置づけを確固たるものにしています。当社は、自動車産業向けのプレミアム製品分野以外にも幅広い市場で応用することのできるこの複合成形技術に、非常に大きな将来性を認めています」と述べている。  この10年間で自動車メーカーの使用する材料は、金属材料のみから、金属とプラスチックを一体化させた複合材料へとシフトしつつあり、ラン クセスの「デュレタン(R)(Durethan(R))」を用いたプラスチックとスチール又はアルミニウムによる複合材料は、自動車部品としてすでに使用されている。自動車1台あたりのプラスチック含有率は約20%で、この割合はさらに増加すると見られている。  自動車産業に加えて、スポーツおよび電子産業も主要顧客市場となり、BondーLaminates社の軽量化技術は、例えば、履物、スノーボード用ヘルメット、自転車のブレーキレバー、スピーカーの振動板、電気製品のカバー等にも使用されている。  BondーLaminates社は、製造拠点、シミュレーション技術および実験施設をブリーロン(ドイツ)に構え、2011年度の総売上高は1、600万ユーロを達成、約80名の従業員を擁している。

 高性能プラスチックのグローバルにおけるバリューチェーン

 ランクセスは、高性能プラスチック向けのグローバル製造ネットワーク拡大を図るため、2012年から2014年の間に1億2、500万ユーロの投資を見込んでいる。ランクセスの高性能プラスチックのバリューチェーンの中核は、アントワープ拠点(ベルギー)とクレフェルドーユルディンゲン拠点(ドイツ)。  ランクセスは、アントワープ拠点において世界規模のプラスチック製造プラントの新設を決定した。さらに最近では、ポリアミドの製造時に使用される中間体のカプロラクタムの製造能力増強が完了している。ポリアミドは、ランクセスの拡大中のグローバルネットワークで繋がる各国のコンパウンド工場に送られる。そこで、「デュレタン」ブランドを製造するために添加剤とガラス繊維を混錬し最適化される。無錫拠点(中国)では既 存のコンパウンド工場の製造能力増強が完了し、ジャガディア拠点(インド)の新プラントは今年初めに、そしてガストニア拠点(米国)の新コンパウンド工場は今月に稼動を開始している。さらに現在、ポルト・フェリース拠点(ブラジル)では、新工場を建設している。また最近では、ハッム・ユントロプ(ドイツ)にあるデュポン社との合弁会社のコンパウンド工場でポリブチレンテレフタレート「ポカン(R)(Pocan(R))」ブランドの製造能力増強を図った。  ハイパフォーマンスマテリアルズビジネスユニットは、パフォーマンスポリマーズ部門(2011年度売上高:51億ユーロ)に属し、世界中に約1、550名の従業 員を擁している。

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