新たな価値をプラスする材料と技術の複合展「N PLAS」が18日から21日の3日間、東京ビッグサイト・東ホールで開催された。 同展はプラスチック、軽金属、複合材料などの素材に加え、耐熱・放熱、接着・接合、軽量化・高強度化などのソリューションをテーマにした7つの展示会があつまる複合展。「プラスチック高機能化技術展」「耐熱・放熱技術展」「軽量化・高強度化技術展」などが開催されると同時に、各種セミナーや講演会も行われた。 主催は日本プラスチック工業技術研究会。 出展社と内容は以下。
日本ゼオン
熱可塑性樹脂(シクロオレフィンポリマー)の「ZEONEX(ゼオネックス)と「ZEONOR(ゼオノア)」を出品。 ゼオノアは光学部品、自動車部品、包装用などに使われ、成形性に優れた熱可塑性樹脂。 一方、ゼオネックスはカメラ用部品、レーザービームプリンター用レンズなどに使用され、低不純物特性を活かした医療用途や低誘電率・低誘電正接を活かした電気絶縁用途にも展開されている。開発品として、低吸水性に優れた、耐リフロー性を有する耐熱プラスチックや熱可塑性軟質プラスチック、バリア性、低吸水性に優れ、ハロゲンを含まないプラスチックなども商会した。
ホッティーポリマー
風力発電、建機用用途に、高性能、高精度な旋回ベアリングシール材を出展した。耐オゾン性、耐グリース性、耐摩耗性に優れるため、屋外環境で使用される風力発電などに適応する。様々な形状での制作、エンドレスジョイントも可能。 また、特殊滑性樹脂を被膜した樹脂押出品の「スベアップ」の摺動性をガラス製の引き戸を使用しアピールした。 このほか、設計の可能性を広げるPEEK異型押出成形品をはじめ高耐熱、環境性に優れた超極細ポリイミドチューブ、多様なニーズに対応する各種エンプラのチューブ、水密性能を向上させるゲルとエラストマーの複合押出シール材「ゲルガスケット」などを紹介した。
右川ゴム製造所
ゴム製造に100年の実績を有する同社は、自動車用部品、OAローラー用ゴムやスポンジ、健康グッズ「ぽんぽんマッサージャー」などを出品。 独自の配合設計により、通常のゴムの物性、コストを保ちつつ、ISO14044および14044計算で6%から10%の二酸化炭素削減が可能な低炭素ゴムも紹介。原料製造からのトータルでの環境貢献をアピールした。 また、難燃性ゴムや導電性ゴム、軽量化できコスト削減メリットもある微発泡ゴム、高復元スポンジゴムなどをパネルや実物を展示しわかりやすく訴求した。高復元性ゴムスポンジはユニットバスの排水溝などの高気密を要求される部分や建屋の扉などの繰り返し開閉される接触部分のパッキン材などに使用される製品。 参考出展として、スマートフォンの背面に接着させ、ホールド感を高めるグリップ「media GRIP」も紹介した。
共和ゴム
共和ゴムは止水やパッキンなどに使用される超軟質のゴム、土木・下水向けの多層成形ゴム、自動車用途などの産業用ゴムなどを出展した。 放射能遮へい用途などに使用される特殊ゴムシートも紹介。従来は鉛入りゴムを使用していたが、ゴムに放射能遮へい機能を持たせることで軽量化に寄与する。警察・自衛隊向け放射能防護服を展示しアピールした。
丸一ゴム製作所
工業用ゴム製品の総合メーカー丸一ゴムは、異物混入をリスクを減らすゴム・プラスチック製品MPフーズシリーズなどを出展した。同製品はゴム製品でありながら金属のような特性があり、磁石にくっつき、小片でも金属探知機やX線異物検出器で検出が可能なため、食品製造工場などで、異物混入による回収リスク、商品ロスを削減できる。Oリングやパッキン、ヘラ、手袋など様々な製品を展示した。
テクノプレニードヒダ
岐阜県川辺町に本社を置く同社は、独自のゴム薬品「プレニード」製造・販売および工業用ゴム製品製造・販売を中心に、ゴム練生地の加工・販売、超低硬度ゴムの製造・販売がメイン。硬度0の低硬度EPDMをはじめ、光ケーブルのボックスやドロップシールゴム、ハイブリッドガスケットなどを展示した。
藤倉ゴム
カーボン製ゴルフクラブシャフトの国内トップメーカーとして培ったカーボン製品の設計・成形技術を活かし、自動車のカーボン製プロペラシャフト、ステアリングシャフト、ドライシャフトを展示した。同シャフトは、独自の強度向上積層技術と同時多層巻回により、強度が従来比2割向上した。 また、表面をメッキ加工した超軽量精密ロッドも紹介。そのほか、ゴム引布、極薄シリコーンゴムシート、液状フッ素ゴムの布入りダイヤラム、液状フッ素ゴムの接着複合品なども展示した。
NOK
今回の出展では、EVに使用されるNOKグループの商品群をパネル紹介すると共に、FPC一体ガスケットやインバーター用ラバーガスケット、電極部シールなどの自動車用部品を展示した。 また、機能開発として、硬磁性ゴムや導電性ゴム、用途開発として、多層ウレタンゴムや低反力ガスケットなどをデモを用いて紹介した。そのほか、コーティング剤やFPC技術なども紹介した。
ニシヤマ
工業用ゴム製品の専門商社ニシヤマは、世界初エンジニアリングプラスチック製タンクを、材料を担当する三菱エンジニアリングプラスチックス、成形を担当するみのる化成と共同で出品した。 同製品は内装に特殊m―PPE、中間層に接着樹脂、外層にPAの3層からなり、80度までの耐熱を実現、容量は150Lまでで、3層構造により強固な躯体となっている。金属製と比較してオール樹脂製のため軽量なのが特徴。燃料電池、太陽光蓄熱、ヒートポンプなどの用途が想定されている。内部が見えるように切り取った3層樹脂タンクの実物も展示訴求した。