全国の工業用ゴム製品卸商組で構成する全国ゴム商組連合会の会議が9月13日、名鉄ニューグランドホテル(名古屋市)で開かれた。今年度は中部ゴム商組が幹事組合として会議を進め、アンケートによる各地区会員企業数の異動結果などを報告、各地区の活動状況や市況交換を議題に意見交換を行った。また、メーカー団体の代表を来賓に招き、商工懇談会も行った。
連合会の会議は、幹事組合を代表して中部の川島健一理事長が司会を務めて開会した。今回は組合員数・賛助会員数の動向がアンケート調査されたが、各地区商組とも減少傾向にあることが判明した。退会理由としては「経費の削減」やメーカー系列などでは「組織の統合」などがあげられた。後継者問題も含めて「廃業」を理由とする企業もみられた。
このあと、各地区商組の代表がそれぞれの組合の運営状況や市況などについて説明、これらを踏まえて意見交換した。(関連記事=7面)
連合会会議のあとは日本ゴム工業会、日本ベルト工業会、日本ゴムホース工業会、日本ホース金具工業会の役員が来賓として招かれ、商工懇談会を開催した。
日本ゴム工業会からは松谷衛専務理事、日本ベルト工業会からは中村典雄常務理事、日本ゴムホース工業会からは阿南正彦常務理事、日本ホース金具工業会からは小島研二常務理事が出席、それぞれ本年上期の生産状況や現在の各製品を取り巻く環境、さらには下期の需要見通しなどについて言及した。
商工懇談に先立ち、川島中部ゴム商組理事長は「ゴム産業界は大変厳しい状況が続いています。メーカーと流通業者は両輪であると我々は思っており、メーカー様とお話しする機会を保ち、意見交換することで方向性を見い出し、事業展開の活性化も図っていきたいと考えております。商工懇談会を密に、今後も健全な発展を目指していきたいと願っております」とあいさつ。
続いてメーカー団体から、ゴム製品の生産・出荷状況などについて説明が行われた。松谷専務理事は工業用品類の動向について触れ「12年は自動車の生産回復をどの程度とみるかで伸び率に開きが出ているようだ。パッキン類やスポンジ製品は12%程度の伸長、防振ゴムは5%程度のプラス、ゴム板も3%増程度の予想となっている。ゴムロールは製鉄関係がタイの洪水、円高の影響で横ばい、製紙も震災の影響や紙の需要増が見込めないことから横ばい予想となっている。一方で、印刷機器関連は紙媒体離れからマイナスが予測されている。防舷材は需要減から本年は6%台のマイナスで、12年年間の新ゴム消費予想量は、工業用品類全体では18万3440㌧、前年比7・5%増が見込まれる」とした。
中村常務理事はベルトの生産動向について「搬送ベルトは、内需、輸出合計で上期は9299㌧、前年同期比19%増、伝動は6067㌧、同12%減となり、ゴムベルト全体では1万5365㌧、同4%増となった。樹脂ベルトは内需、輸出ともに前年実績を下回り、合計では49万8000平方㍍で同10%減となった。国内搬送ベルトの需要先別では、鉄鋼や機械、電力ガス、紙パルプ向けは順調に伸びたが、石灰セメント関連は低調に推移した」と語った。
また、地域別の出荷額状況については「ゴム搬送は、中国地区を除いて順調に出荷額を伸ばしている。北海道は前年同期比で14%増、東北は震災復興も加わり72%増、関東は4%増、中部は12%増、近畿四国は26%増、九州は23%増、中国は23%減。樹脂搬送は、関東が微減ながら他地区はプラスで推移している」
上期の実績を踏まえて、日本ベルト工業会では12年年間の生産量予測を発表、それによると搬送ベルトは全体で1万9797㌧、前年比16%増、伝動ベルトは1万3509㌧、同1%減とし、ゴムベルト全体では3万3305㌧、同8%増、樹脂ベルトは全体で112万3000平方㍍、同3%増とした。
ゴムホースの生産動向につては、阿南常務理事が説明した。同氏は「上期のゴムホース生産量は自動車用が1万3231㌧、前年同期比26・6%増、高圧用は2069㌧、同3・7%減、その他用は3912㌧、同0・1%減となり、合計では1万9212㌧、同16・3%増となった。上期は順調に推移したが、下期は不透明感が強まり、今後の課題は強い実体経済回復と、その需要動向への対応をいかになし得るかという視点に尽きる」と分析した。
日本ゴムホース工業会では12年年間のゴムホース生産については、生産量3万9140㌧、前年比9・7%増、出荷金額は1460億円、同9・9%増と生産出荷ともほぼ1割増を見込んでいる。
引き続き、小島常務がホースアセンブリ需給状況を説明した。「会員17社の上期の需給実績は産業用ゴムホースが合計で219億9300万円、前年同期比3%増、自動車用ゴムホースは67億2700万円、同17%増、樹脂ホースアセンブリは35億600万円で同12%増となり、付属金具販売を含めた全体では345億9000万円、同5%増となった」などと述べた。
2012年09月24日