信越化学工業(森俊三社長)は9月19日、塩化ビニル樹脂(塩ビ)の国内向け販売価格を値上げすると発表した。1キログラム当たり15円の値上げを、10月15日納入分から実施予定。
同社は、今年2月末に、エチレン、ナフサをはじめとした原燃料価格の急騰を理由に15円以上の値上げを発表したが、5月より原燃料価格が反落したことから値上げの実施には至らなかった。しかし、一旦下落した原燃料価格は7月を底に反転し、9月に入り一段と騰勢を強めており、事業収支は大変厳しい状態となっている。
同社は、原燃料価格の上昇を吸収するため、継続して徹底的なコスト低減に努めているが、この度の原燃料価格の上昇は企業努力の限界をはるかに超えるものとなっている。塩ビ事業の存続及び今後の安定供給を維持するために、価格改定へと踏み切った。
なお、原燃料の値上がりを受けて世界的にエチレン誘導体の価格が上昇しており、塩ビについても既にアジアおよび欧米でも騰勢を強めている。同社は、顧客が事業を取り巻く厳しい状況を理解し、値上げを了解するよう努めていくとしている。