宇部興産(竹下道夫社長)は18日、スペインの子会社であるウベ・エンジニアリング・プラスチックス社(Ube Engineering Plastics, S.A.、リカルド・ロペス社長)にて1万トン/年のナイロン6製造設備を増設することを決定したと発表した。欧州や北米での高付加価値ナイロンの需要増大に対応するため。稼動開始は2015年3月を予定。
食品、トイレタリーや洗剤等の包装用フィルム向けナイロン市場では、近年の環境志向の高まりに伴い、脱PVDC(ポリ塩化ビニリデン)フィルムに対する需要が高まっている。同社はこの需要に対応するため、コポリマー系ナイロン6樹脂の高付加価値グレードを日本で生産し欧州や北米に輸出してきたが、消費地に近いスペインで生産することにより顧客の要望に迅速に対応できる体制を構築する。
同社グループは現在、世界3拠点でナイロン6を生産しており、日本(5・3万トン/年)、タイ(7・5万トン/年)、スペイン(2・0万トン/年)の合計14.8万トン/年の生産能力を持つ世界第3位のナイロンメーカー。特に包装用フィルム向けなどの押出用途では、その品質、成形性において需要家より高い評価を受けている。近年、南米、東欧や中近東などの新興国でも包装用フィルム向けナイロンの需要は伸びており、新設備はこれら需要の受け皿となることも期待されている。
〈ウベ・エンジニアリング・プラスチックスの概要〉
▽所在地=スペイン、バレンシア州カステジョン市
▽事業内容=ナイロン製品の製造・販売
▽設立時期=2001年10月
▽資本金=1316万ユーロ
▽出資比率=UBE CORPORATION EUROPE,S.A.100%(宇部興産100%出資の欧州統括持株会社)
▽従業員数=55人
2012年10月18日