帝人は24日、同社グループ会社の帝人デュポンフィルム(室岡博文社長)が世界最高レベルの紫外線(UV)カット性能を持つ高機能フィルムを開発したと発表した。
これにより、従来UVカットフィルムには必須であったコーティング工程などが不要となり、生産工程のトータルコストダウンを期待できる。
UVカットフィルムは、窓ガラス用フィルムやエレクトロニクス材料の保護フィルムとして使用されているが、今後有機ELや電子ペーパーといった次世代ディスプレイなどの高機能デバイスや、次世代太陽電池に用いられる高分子導電材料や有機半導体材料の保護用途を中心に、さらなる需要拡大が期待されている。こうした中で、これまでのフィルムはUVカット性能を上げると可視光透過率が低下してしまうことが課題となっていた。今回新開発のフィルムは、独自のUV吸収剤設計技術により世界最高レベルのUVカット性能(吸収波長領域390nm)を実現し、有害な紫外線をほぼ100%カットすることが可能になると共に、従来のフィルムと同等以上の可視光透過率を確保した。また、フィルム自体にUVカット性能を付与することにより、従来のフィルムのようなUVカット層のコーティング加工が不要となり、加工時に発生する不純物の発生量も従来のフィルムの10分の1以下に低減できるため、生産工程のトータルコストダウンが期待される。
同フィルムは今後スケールアップを進め、2013年度の発売を予定。エレクトロニクス材料の保護フィルムを中心に、2020年度には25億円の売上を目指す。
2012年10月24日