独BASFは29日、2012年第3四半期の業績を発表した。
堅調に終わった上半期に続き、第3四半期も全体的に好調な業績を維持した。売上高は、主に販売量の拡大により、前年同期比8%増の190億ユーロ、特別項目控除前EBITは同5%増の21億ユーロ弱となった。化学品、プラスチック、高機能製品、機能性化学品から構成される化学品事業分野においては減益となったが、石油・ガス部門と農業関連製品部門の収益が拡大し、この減益を上回った。
第3四半期の決算説明会において、同社取締役会会長のDr.クルト・ボック氏は、「第3四半期には世界経済の見通しが再び悪化し、国際資本市場では先行き不透明感が続きました。また、中国に目を向けると、第3四半期には、前年同期と比較して成長が再び鈍化しました。現在の水準で中国は安定していますが、上向きの兆候は見られません」と述べている。
第3四半期の部門別業績では、「化学品部門」の売上高は前年同期比で大幅に増加した。これは主に、STYROLUTION(スタイロルーション)グループ各社への販売に加え、為替変動に伴うプラス効果と販売量の増加によるもの。ただし、利益率の低下と石油化学事業本部のプラントの一時操業停止により、利益は大幅に減少した。
「プラスチック部門」の売上高は、主に為替変動によるプラス効果を受けて増加。ポリウレタン事業本部では販売量が増え、販売価格も上昇した。ポリウレタン事業本部の増益にもかかわらず、ポリアミドの原料の利益率が低下した結果、同部門全体では前年同期比で大幅な減益となった。
「高機能製品部門」の売上高は、前年同期の水準をわずかに上回った。これは主に、為替変動に伴うプラス効果によるものだが、販売量減少と販売価格低下の結果、成長率は鈍化した。操業度の低下や研究開発費の高騰によりコストが上昇した結果、利益は減少した。
「機能性化学品部門」の売上高は、為替変動に伴うプラス効果にもかかわらず減少。これは主に、販売量と販売価格の低下により、貴金属取引の貢献が縮小したことによる。利益については主に原材料費の上昇により、前年同期の水準に届かなかった。
「農業関連製品部門」は大幅な増収を達成した。南米では生育シーズンが始まり、北半球の秋季事業とともに大きな成功を収めている。販売量の拡大に加え、為替変動によるプラスの効果も増収に貢献した。また、販売量の増加により、前年同期の水準を大幅に上回る増益となった。
「石油・ガス部門」の売上高は大幅に増加した。石油、ガスいずれの事業でも販売量が拡大。天然ガス取引の販売量はスポット取引市場での需要の高まりを受けて拡大した。昨年の2月から10月までリビアでの石油生産が停止したが、2012年第3四半期には同地で継続的に原油を生産することができた。このため、利益は前年同期比で大幅に増えたほか、純利益も大幅に増加した。
「その他」に分類される事業の売上高は減少。これは主に2011年10月1日に、従来STYROLUTION合弁事業に貢献していたスチレン事業を売却したため。また、スチレン事業の利益貢献がなくなったことや株価上昇によって長期インセンティブ制度の引当金が増加したことが要因となり、同部門の利益は大幅に減少した。対照的に、前年同期の長期インセンティブ制度の引当金の取り崩しは増益をもたらした。
2012年10月31日