独BASFは1日、オランダのTenCate Advanced Composites (以下TenCate社)と高い量産性が必要とされる自動車用途に適した熱可塑性コンポジットの開発、製造、商業化を協力して推進する戦略的提携に合意したと発表した。
今回のパートナーシップは、構造部材等に適用可能なコンポジットを自動車用途向けに提供することを主な目的としており、自動車の軽量化と二酸化炭素の排出削減の推進に貢献することが期待される。自動車業界では量産車向けのコンポジット材料へのニーズが高まっており、コンポジット材料の短期間での開発および製造プロセスの短縮化を進める必要がある。
TenCate社は主に最新の航空機の構造部材の一部やインテリアなどに利用されているTenCate Cetex®製品群で連続繊維強化型の熱可塑性コンポジットの市場をリードしてきた。BASFは自動車業界において長年に渡る知見とネットワークを持っており、二社が自動車用途向けコンポジット材料の分野で協力することにより、今後必要となってくる開発を迅速に行えるようになる。
今回の戦略的提携で、BASFは、熱可塑性樹脂の製造と組成等について蓄積してきた豊富なノウハウを提供し、本用途に適した製品の開発を行う。これに対し、TenCate社はコンポジット材料の製造に関する知識を提供し、両社が協力することにより、スペシャリティプラスチックを用いた自動車用コンポジット材料(UDテープ、プレプレグ、ラミネート)の開発を行っていく。
BASFのエンジニアリングプラスチック欧州ビジネスユニットを統括するメラニー・マース ブルンナー氏は「自動車の軽量化をこれまで以上に推進するためには、加工コストを大幅に引き下げる必要性があります。連続繊維強化型の熱可塑性コンポジット材料を使用することで、それを実現できる可能性があると考えています。ただし、コンポジット材料を使って軽量化および量産性を実現するためには、今後、更なる進歩が必要になってきます。BASFではTenCate社と協力し、これを実現したいと考えています。」と述べている。また、TenCate Advanced Composites EMEAのグループディレクター、フランク・ムールス氏は「TenCate Cetex®のラミネートとプレプレグは、以前から、商用航空機の製造に利用されており、最近では、産業用途での活用も広がってきています。TenCate社としては今後、自動車業界での用途拡大を目指しており、今回の提携成立により、自動車業界の量産性の要求に適した新材料を短期間で開発できるようになるものと思います」としている。
2012年11月02日