三菱化学(石塚博昭社長)は5日、フランスのFaurecia(Yann Delabrière社長、以下フォルシア社)と、自動車内装部材に使用するバイオプラスチックについて共同研究開発を進めることへの合意を発表した。
両社は2014年をめどに、自動車内装部材に適した性能を有し、かつ植物原料を用いたポリブチレンサクシネート(PBS)の開発を目指す。
フォルシア社は連結売上高世界第6位の自動車部品メーカーで、自動車の内装システムにおいて世界屈指の技術を有している。また、同社は燃費向上のための軽量化や部材リサイクル率の向上など、欧州をはじめとした自動車産業における環境配慮政策に対して率先した取り組みを行っており、特に内装部材に関しては、使用するプラスチックの大部分を植物原料由来へ代替することを目指している。
一方、三菱化学は石油化学製品の製造で培われた高度なプロセス技術と、多様な高機能樹脂ラインナップに基づく幅広い応用技術を用いて、バイオプラスチックの一種であるPBS(登録商標「GS Pla®」)の製造・マーケティングを行っている。また、PBSの原料であるコハク酸を植物原料化したPBSの開発も行っており、多数の有力な特許を用いて、植物原料由来PBS分野における極めて強力なポジションの構築を進めている。そのため、タイのPTT Public Company Limited(Pailin Chuchottaworn、総裁)と折半出資子会社のPTT MCC Biochem Company Limited(Worawat Pitayasiri社長)を設立しており、2015年を目標に、タイに年産2万トンのPBSプラントを建設する予定。
植物原料由来のコハク酸については、そのパイオニアであるカナダのBioAmber Inc.(Jean Francois Huc社長)と提携、いっそう高効率な製造プロセスの確立を目指しており、2015年にタイで稼働する年産2万トンのPBSプラントでも原料としてこのコハク酸を使用する計画。
三菱化学が属する三菱ケミカルホールディングスグループは、2025年をめどに、既存の石油由来原料の消費量の20%相当を植物由来に転換することを目標にしているが、フォルシア社とのバイオプラスチック共同研究開発提携による自動車分野での本格的な実用化も契機として、サステイナブルリソース事業をいっそう推進していくとしている。
2012年11月06日