ランクセス 販売不調でEBITDA18%減

2012年11月12日

ゴムタイムス社

  ランクセスの12年度第3四半期決算は、農薬製品の継続した旺盛な需要により恩恵を受けたものの、タイヤおよび自動車産業の需要の軟化をカバーしきれず減収減益となった。
 売上高は、販売量の低下と原料価格の下落に伴う製品売価の値下げにより、前年同期比8%減の22億ユーロとなった。
 特別項目調整前EBITDAは、販売量の低下、製造施設の定期メンテナンス費用、遊休設備費用により、前年同期比18%減の2億5500万ユーロ。 純利益は、主に販売量と業績の低下により、前年同期比39%減の9400万ユーロとなった。
 ランクセスのCEOであるアクセル・ハイトマンは「第3四半期の結果は予測通りであると同時に、記録的な好業績を達成した前年同期と対比する結果となっています。ランクセスは、柔軟な資産管理や厳格なコスト縮減といった実績ある対策で、より厳しいビジネス環境に対応していきます」とコメントした。
 2012年第3四半期末時点の純金融負債は、運転資本の減少により第2四半期の8%減となる約16億ユーロとなった。営業活動からのキャッシュフローも主に運転資本の減少が反映し、前年同期比の2倍以上の3億4400 万ユーロとなった。
 グループの総売上高の28%を占めるEMEA(ドイツを除く欧州、中東、アフリカ)地域は、引き続きグループ最大の売上高を誇る地域となり、売上高は前年同期比9%減の5億9600万ユーロとなった。
 イタリアとスペインの売上高は減少する一方で、ロシアでは成長を見せている。
 グループの総売上高の18%を占めるドイツの売上高は、前年同期比4%減の3億9200万ユーロ。
 グループの総売上高の18%を占める北米地域の売上高は、前年同期比2%減の3億9100万ユーロとなった。
 グループの総売上高の23%を占めるアジア太平洋地域の売上高は、前年同期比5%減の4億9300万ユーロで、これは中国圏での景気下降が主な要因となった。
 グループの総売上高の13%を占める中南米地域の売上高は、前年同期比19%減の2億8700万ユーロとなった。
 グループの総売上高の23%を占めるBRICS5ヵ国(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)の売上高は、前年同期比18%減の4億8500万ユーロとなった。

 事業分野別では、パフォーマンスポリマーズ部門の売上高は、前年同期比17%減の12億ユーロとなった。原料価格の下落により、特にブタジエンラバーの製品売価が前年同期比の12%減となり、さらには、販売量が11%減となった。タイヤ買い替え市場やOEMタイヤ市場の販売量減少に伴い、特別項目調整前 EBITDAは前年同期比29%減の1億5200万ユーロとなった。
 一般的な合成ゴムとは対照的に、ネオジウム触媒ポリブタジエンラバー(Nd―PBR)やソリューション・スチレン・ブタジエン・ラバー(SSBR)といった高性能ゴムの需要は引き続き活発でで、これらのゴムは「エコタイヤ」の製造に欠かせないもので、燃費性能の向上と二酸化炭素排出量を低減する。
 アドバンスト中間体部門の売上高は、製品売価の上昇、販売量の増加、そして有利な為替変動の影響を受け前年同期比9%増の4億300万ユーロとなった。特別項目調整前EBITDAは、アドバンスト工業化学品とサルティゴの両ビジネスユニットが農薬業界の継続する旺盛な需要を受けて、前年同期比10%増の7500万ユーロとなった。
 パフォーマンスケミカルズ部門の売上高は、有利な為替変動の影響と米国での最近の3件の買収によるポートフォリオ効果を受け、前年同期の6%増の5億5500万ユーロとなった。 
 無機顔料ビジネスユニットはアジアでの建設産業の好調に伴い、成長が続いている。ゴム薬品とラインケミーの両ビジネスユニットは、自動車産業の顧客向けの販売量が減少した。

 同社では第4四半期に経済環境がさらに悪化することはないと予測しており、12年度通年の特別項目調整前EBITDAは、前回発表時の予測範囲(前年比5%~10%増)の下限になると見ている。
 第4四半期は、欧州における自動車産業が引き続き軟化し、北米と中国では緩慢なペースながら
成長を続けると予測しており、タイヤ産業の需要は引き続き低迷し、農薬業界は安定した成長をみせ、欧州での建設産業の成長は見られないが、北米では多少の回復をみせると予測している。

 

 

 

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