2012年は化学メーカーのプラント事故が目立った1年であった。
今年3月、昭和電工の大分コンビナート(大分県)で設備トラブルが発生し、エチレン設備が約3ヵ月停止、苛性ソーダの需給がひっ迫した。4月には三井化学の大竹工場(山口県)で爆発事故が発生、フォトレジスト向け素材の生産がストップした。9月には日本触媒の姫路製造所(兵庫県)で爆発事故が起こり、紙おむつ向け素材の生産に影響が出た。
これら日本を代表する企業のトラブルや工場火災は、最終製品への影響も大きく、化学業界は再発防止のため重い課題を表面化させた。事故の原因は工場従業員の不手際や判断ミスが疑われるが、必ずしもケアレスミスだけが原因ではなさそうだ。
化学プラントは1990年から2010年までの20年間で電子化が急速に進み、マニュアル通りに管理することで安定した連続生産システムが確立され、生産性が飛躍的に伸びた。設備の高度化に対応してきたベテラン従業員が定年退職の時期を迎え、技術伝承が充分でなく、手薄になっていたことも予想される。
2012年11月19日