ゴム製品需要の伸びにストップがかかり、後退局面に移った。経済産業省まとめによる本年1―9月期のゴム製品生産実績(確報)によると、生産量は全体で105万3402㌧、前年同期比98・7%と小幅ながら前年同期実績を下回った。出荷金額は1兆7049億900万円、同103・6%とプラスを維持しているが、新興国を含め世界景気の悪化により、ゴム製品生産は先行き減少が予想される。
2012年のゴム製品生産は、国内では東日本大震災の復興需要や国内自動車生産の順調推移を背景に上期はタイヤ並びに自動車用ゴム部品、一般工業用品ともに堅調に推移、緩やかながらも回復基調をたどったが、欧州経済の長引く低迷が中国をはじめ新興国市場へも波及し、夏場以降は伸びに陰りが見え出し、中国市場の冷え込みも加わり需要は急速に減退した。
9月のゴム製品生産実績は、全体で11万5334㌧、前年同月比89・7%と1割減となった。主力の自動車タイヤ生産が9万3380㌧、同89・2%と落ち込み、ゴムベルトも2399㌧、同89・1%、ゴムホースは2907㌧、同87・3%、工業用ゴム製品計は1万4445㌧、同92・3%といずれも前年実績を下回った。この結果、1―9月累計生産量は105万3402㌧、前年同期比98・7%とわずかながらマイナスとなった。出荷金額は累計で1兆7049億900万円、同3・6%増となった。
1―9月期の品種別生産実績をみると、自動車タイヤが84万9739㌧、前年同期比3・1%減、ゴムベルトは2万634㌧、同0・5%増、ゴムホースは2万8040㌧、同8・5%増、工業用品は13万4694㌧、同7・4%増と、タイヤ以外は前年同期実績を上回っているが、10月以降も生産は減少推移で年間トータルでは前年実績を下回ることが予想される。同期の出荷金額は、ゴムベルト(558億8200万円、同0・2%減)が微減となったが、タイヤ、ホース、工業用品はわずかながらプラスを維持した。
3月期決算の主要上場ゴム企業の中間期連結業績をみると、売上高は過半数が増収となったが、収益面にはバラつきがみられた。輸出依存型では円高に加えて欧州、アジア市場の低迷などが影響、国内においても復興需要が大きく伸びず、液晶・半導体関連需要の低迷などにより減益となった企業も数多い結果となった。
ゴム製品の生産予想が減少傾向にある中、企業業績も下方修正するところが目立ち、年末から新年にかけて厳しい環境が続くことが予想される。