第3のエラストマー 高弾性率TPU 「エラストランARシリーズ」を開発
BASFジャパン
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- WEB: http://www.japan.basf.com/apex/Japan/Japan/ja/
グローバルな需要増に対応 ドイツ工場で生産能力増強
BASFジャパンは熱可塑性ポリウレタンエラストマー「エラストラン」の新グレードとしてこのほど「第3のエラストマー」である高弾性率熱可塑性ポリウレタン「エラストラン®ARシリーズ」を開発、本格販売を開始した。
この「エラストラン®ARシリーズ」はエンジニアリングプラスチックスとエラストマーの中間領域を埋める画期的な熱可塑性ポリウレタン(TPU)で、硬度別に「AR3672Dクリヤー」と「AR3680D10クリヤー」の2種をラインナップ。ともに高弾性率、高透明性、低温成形が可能で成形条件の幅が広い、優れた耐衝撃性を有するなどの特長を備えている。
曲げ弾性率については通常の200~300MPaに対し、350~1150MPaと高弾性率を有し、成形温度も200°C近辺であり、成形条件が幅広く取れ、しかも透明性に優れるのが大きな特長。
同社ではポリアミド樹脂(PA)の代替素材としてエンジニアリングプラスチックスとエラストマーの中間領域を埋める材料と位置づけており、エアーチューブ、光ファイバー用途、スポーツ用品、メガネフレームなどでの用途展開に注力していく方針。
このほか、新グレードとして加硫ゴム製品代替を狙いとした可塑剤入りの熱可塑性ポリウレタンエラストマー(エステル系)(硬度55±3A)及び無可塑の低硬度エステル系熱可塑性ポリウレタンエラストマー(硬度61 )の柔軟な低硬度グレード製品も新たに追加投入した。
BASFジャパンのTPUは、三重県四日市に25年の歴史を持つプラント及びテクニカルセンターを有し、「エラストラン」のグローバルグレード、日本独自の汎用グレード、特殊グレードと幅広い顧客ニーズに対応、特殊グレードでは無黄変、ホットメルト、難燃、低硬度、高弾性、導電、各種マスターバッチと豊富な品揃えを図っており、なかでも「NY―TPUタイプ(無黄変TPU)」、「ハロゲンフリーTPU」、「スーパー耐熱3兄弟」「スーパー楽々TPU」などの特殊グレード製品の拡販に注力、新製品開発も高機能TPUに特化している。
無黄変のNYシリーズは耐候性、透明性に優れ機械的強度が高く、耐摩耗性に優れているのが特長。スーパー楽々TPUは塩化ビニール樹脂並みの幅広い温度領域、特に低温域での押出・カレンダー成形を可能としつつ、ウレタン樹脂の柔らかい風合いと卓越した物性を兼ね備えているTPU。
足元の需給動向は上期の自動車生産の回復により国内、輸出ともに堅調な伸びを見せており、フィルム、シート、ホースチューブ、ベルト、電線などの押出し分野での需要が拡大しつつあり、四日市工場(年産1万トン能力推定)ではフル生産の状況という。
BASFグループの熱可塑性ポリウレタンエラストマーのグローバルな生産能力は日本、ドイツ、アメリカ、ブラジル、中国・上海の5拠点で年産12~13万トン規模と見られるが、グローバルな需要増に対応し、2013年~14年にドイツ工場での増設を計画しており、アジア地区ではインドでのTPUプラント建設も視野に入れている。ドイツでの増設により生産能力は大幅な生産の能力増強となることが見込まれ、さらなる事業領域の拡大を図る。
(2012年12月10日紙面掲載)