2012年の年末を迎えました。東日本大震災以降、復興に向けて日本が大きく動き出し、基幹産業である自動車産業は年初より順調に国内生産を伸ばし、政府のエコカーポイントによる補助金制度の効果から、上半期のゴム産業は順調に推移しました。しかし、欧州の財政危機問題の長期化は中国経済にも影響を与え、さらに日中関係の悪化から反日デモも発生、下期以降は急速に市場環境悪化へと移りました。本紙は2012年を回顧し「ゴム業界10大ニュース」を選定いたしました。
12年は、後半に入り自動車産業ではエコカー補助金終了、液晶・半導体産業の低迷、さらに中国経済の悪化などから需要に急ブレーキがかかり「経済環境は夏以降、急速に減退」となりました。ゴム製品生産実績をみても上期は国内自動車生産の順調により自動車部品を中心にタイヤ、ベルト、工業用品などの生産は順調な伸びを示しましたが、夏以降は伸長率が鈍化、9月には一部の生産がマイナスになるなど明らかに停滞局面へと変わったようです。
グローバル化の勢いは止まらず、ゴムメーカーの海外進出、増産も相次ぎました。とくに本年はインド進出が目立ちました。タイヤでは横浜ゴム、住友ゴム工業が進出を発表、インドの市場ニーズを的確にとらえた商品投入および販売活動を強化します。
付加価値を追求した商品開発では、引き続き環境対応商品のニーズが高まり、省エネベルトやエコホースなどの開発上市が進められ、こうした環境対応商品の市場占有率も着実に高まり、市場への定着感があります。タイヤでも低燃費タイヤのシリーズ拡充が進み、今後は東南アジアなど新興国市場への投入も計画されております。
また、新素材を採用した新商品開発も加速しています。住友ゴム工業は100%石油外天然資源タイヤを13年に発売を予定しております。ブリヂストンは100%サステナブルマテリアル化の実現に向けて天然ゴム資源「ロシアタンポポ」の研究活動を開始、また、同社は味の素と共同でバイオマス由来の合成ゴムを開発しました。
労働面では、ゴム連合が7月に開催しましたゴム産業労使懇談会で、ゴム連合が策定した「高齢者再雇用指針」を基に労使双方が活発に意見交換をしました。13年4月の60歳定年退職者の無収入期間への対応は待った無しであり、各単組での労使協議を経て要求内容を立案することを確認しました。
免震建物の有効性が改めて評価されました。日本免震構造協会が実施した「東日本大震災における免震建物居住者へのアンケート」調査で判明しました。今後、起こり得る南海トラフ地震、首都直下型地震に対して、免震・制振建築がどのように設計されるべきかについての議論も行われました。
また、12年は化学メーカーのプラント事故不幸ながら多発しました。グローバル化で日系メーカーの海外進出が相次いでいる中、世界規模でより安全な工場運営が求めれます。