クラレは17日、高機能タイヤ分野をはじめとする液状ゴムの需要に対応するため、鹿島事業所での増設を決定したと発表した。
設備増設の背景としては、同社グループのコア事業の一つであるイソプレン系事業の拡大戦略の一環、タイヤ製造時の加工性向上に加え、燃費性能やグリップ性能などタイヤの機能向上に寄与する材料として需要拡大を見込んでいること、現在、タイヤ用に開発を推進している新規植物系(ファルネセン)液状ゴムの本格展開にも対応していくことなどが挙げられている。
設備増設は茨城県神栖市東和田36に所在するクラレ鹿島事業所で行われ、生産能力は年産7000トン、稼働は2014年7月を予定している。
同社の液状ゴムは、残存モノマー、残存溶媒をほとんど含まないため、ほぼ無臭、低分子量(6000)から高分子量(5万)の銘柄まで取り揃え、幅広い用途に対応、ゴムと可塑剤の両方の性能を持ち、「反応性可塑剤」としての特性を持つ、ゴム製品の製造工程において練り時間を短縮し、必要な電力エネルギーを削減することができる、などの特長を持つ。
世界のタイヤ需要は新興国に加え、先進国でもタイヤラベリング制度の導入(タイヤ性能をユーザーに分かりやすく等級付けする制度)により拡大が予想されている。同社は液状ゴムを、タイヤ製造時の加工性改良に加え、グリップ性能向上、燃費性能向上などの高機能タイヤ分野に対応できる素材としてグローバル展開を進めていく方針。
2012年12月18日