日本ゴム履物協会 年頭所感 猪山渡会長

2013年01月16日

ゴムタイムス社

 謹んで新春のお慶びを申し上げます。
 昨年は景気回復の期待に反して後退局面の兆しさえ見られ、消費増税や年金問題も重なり将来への備えなどから全般的に消費は低迷しました。自動車購入こそはエコカー補助金により大幅な伸びを見せ、教育、教養娯楽サービスへの支出も堅調でしたが、食料、日用品の消費は伸び悩み、自粛ムードが広がった前年とほぼ同水準で推移しました。依然として消費者の財布の紐は固く、スーパーや外食産業などは相次いで値下げを打ち出し、しかも値下げ率、対象品目とも大幅で、低価格に訴えた集客競争となっていますが必ずしも売上増には結び付いていないようです。原材料費の落ち着きや円高還元による値下げならまだしも利益圧縮による対応もあるようで、値下げ競争による消耗戦は是非とも避けてほしいものであります。
 厳しい状況の中ですが協会員による1~10月のゴム履物販売は前年比102%でありました。年初からの低温と降雪、春の気温上昇、全国的な空梅雨に続く猛暑に残暑、冬の冷え込みというそれぞれの気候に合わせて、また祭りの復活と運動会の盛り上がり、マラソンブームや健康志向の高まりなどの用途に合わせて底堅く推移しました。震災復興によるワークシューズ需要は一段落した感がある中でもセーフティシューズは堅調でしたが、梅雨時に降ればゲリラ豪雨か大型台風かという異常気象が災いして総ゴム靴は前年を下回りました。一方、輸入を含めた生産も106%と前年を上回りましたが、問題は山積しております。中国生産においては労働者の離職が甚だしく、春節などの大型連休後は労働者が入れ替わって品質安定が大きな課題となっています。貸金引き上げは大幅であり、元高とも相侯って中国工場からの値上げ要請は後を絶ちません。心配された日中関係悪化による影響は出ておりませんが、リスク回避のためチャイナ・プラス・ワンは常に念頭に置くべきでしょう。しかしながらプラスワンの候補となる東南アジアもまた賃上げの波が広がっています。ゴム履物業界は長い間低賃金労働を求めて海外展開を図ってきましたが、最早限界に来ております。

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