ランクセス リチウムイオン電池向け酸化鉄顔料の開発に重点

2012年12月20日

ゴムタイムス社

 ドイツの特殊化学品メーカー、ランクセス(LANXESS)は、このほどリチウムイオン電池の陽極材に使用される特殊用途酸化鉄「バイオキサイド(Bayoxide(R))EB90」を開発したと18日発表した。酸化鉄は、特にその優れた物性と高い反応性により、電気自動車分野での使用に最適。
 新開発の「バイオキサイド」のラインアップには、個々の顧客の需要を満たすため、様々な粒子サイズ、結晶の形状や構造、そして純度グレードをもつ特殊な酸化鉄が揃っている。同社ではメーカーはこれらの製品を使用して、走行距離1kmあたりの二酸化炭素排出量を大幅に削減できる電気自動車用の高性能電池を製造することができるとしている。
 電気自動車用の電池だけで、その潜在的な世界市場は2020年までに200億ユーロに達すると予想されている。電池における成功要因の1つは陽極技術。電池は、エネルギー密度、電力密度、安全性、耐用年数そしてコストのバランスがとれている必要がある。LFP陽極材(リン酸鉄リチウム、LiFePO4)は、これらの全ての必要条件をバランスよく効果的に満たしていることが証明されている。第1世代のLFP陽極材が、沈殿させたLFP、または焼結処理法によってシュウ酸鉄から製造されたLFPの溶液を含んでいたのに対し、今日多数のメーカーは酸化鉄、リチウム化合物およびリン化合物の炭素熱反応を使用している。
 「バイオキサイド顔料」の用途は、エアバッグ、ブレーキパッド、触媒コンバーター、コピー機およびレーザープリンター用トナーの顔料、飲料水および廃水浄化に使用する吸着剤製品などがある。「バイオキサイド」のもう一つの非常に革新的な用途が、バイオガスの脱硫。「バイオキサイド」は、酸化鉄顔料を基に製造される「バイオキサイドE顔料」と、酸化クロム顔料を基に製造される「バイオキサイドC顔料」に分類される。建材やプラスチックの着色に使われる顔料同様、バイオキサイドも特定の色調(赤、黄、緑、黒)を揃えているが、その製品の技術的、化学的、物理的特性と比較すれば、色はほんの脇役。
 同社の無機顔料ビジネスユニットは、無機酸化鉄および酸化クロム顔料の世界有数のメーカーで、製造設備をドイツ、ブラジルおよび中国に、ミキシング・粉砕設備をオーストラリア、中国、スペイン、英国および米国に有している。無機顔料ビジネスユニットは、パフォーマンスケミカルズ部門(2011年度の売上高21億3、000万ユーロ)に属している。

特殊用途酸化鉄「バイオキサイド(Bayoxide(R))」

特殊用途酸化鉄「バイオキサイド(Bayoxide(R))」

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